日本大百科全書(ニッポニカ) 「マジェア」の意味・わかりやすい解説
マジェア
まじぇあ
Eduardo Mallea
(1903―1982)
アルゼンチンの小説家、評論家。13歳のとき首都ブエノス・アイレスに移住し、大学中退前に出版した短編集﹃絶望した英国女性のための物語﹄︵1927︶で短編作家として名を馳(は)せ、ヨーロッパの雑誌にも寄稿。1931年にジャーナリズムに入りシュペングラーの﹃西洋の没落﹄を耽読(たんどく)し、34年のヨーロッパ講演旅行から帰国後、35年に長編評論﹃アルゼンチンの認識と表現﹄と小説﹃ヨーロッパ夜曲﹄を発表。両書に端を発するアルゼンチン︵人︶のアイデンティティ追求というテーマはその後も継承され、﹃沈黙の入江﹄︵1940︶、﹃すべての緑は枯れる﹄︵1941︶、﹃塔﹄︵1951︶などの小説では、アルゼンチン人の苦悩、心理的葛藤(かっとう)が重苦しいほどに描かれている。
﹇安藤哲行﹈