大前（読み）オオマエ

デジタル大辞泉 「大前」の意味・読み・例文・類語

おお‐まえ〔おほまへ〕【大前】

 
1神や天皇の前を敬っていう語。みまえ。
﹁天照大御神の―に白(まを)さく﹂︿祝詞・祈年祭﹀
2 数人で弓を射るとき、最初に射る射手。
﹁総射手の前に射る故―と云ふは﹂︿貞丈雑記・一二﹀  

おお‐さき〔おほ‐〕【大▽前／大前＝駆】

先払いの声を長く引くこと。
「殿上人のは短ければ、―小前こさきとつけて聞きさわぐ」〈枕・七八〉

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精選版 日本国語大辞典 「大前」の意味・読み・例文・類語

おお‐まえおほまへ【大前】

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① 神または天皇の前の意を尊んでいう語。御前(みまえ)。広前(ひろまえ)。
(一)[初出の実例]﹁大和のをむらの嶽(たけ)に獣(しし)伏すと 誰かこの事 飫裒磨陛(オホマヘ)に申す﹂(出典‥日本書紀︵720︶雄略四年八月・歌謡)
 (三)② 射芸で、的を射る時の最初に射る人。⇔落(おち)。︹随筆・古老茶話︵1741頃︶︺
 (四)③ ずっと以前のこと。
(一)[初出の実例]﹁布初━大まへの事ぞ﹂(出典‥寛永刊本蒙求抄︵1529頃︶三)
 (五)④ 江戸時代、一般の百姓を小前(こまえ)というのに対して、持地の多い農民層を諏訪藩などでいう。
 (六)⑤ 資産のある家。たいけ。
(一)[初出の実例]﹁どんな大(オホ)めへな所へ往ても、亭主が悪いと苦労もおほし﹂(出典‥人情本・孝女二葉錦︵1829︶初)
 (七)⑥ 気前がよいこと。ごうせい。
(一)[初出の実例]﹁遊所にては大まへに銀をよう遣ふ﹂(出典‥売卜先生安楽伝授︵1796︶下)
 (八)⑦ 大型和船の中棚の船首部の名称。伊勢、関東、東北にかけて多く用いられる呼称。一般には四通(よとおり)、大継(おおつぎ)という。︹今西氏家舶縄墨私記︵1813︶︺
  
 

おお‐さきおほ‥︻大前︼

 

(一)〘 名詞 〙 さきばらいのものが、人払いの声を長くひくこと。⇔小前(こさき)。
(一)[初出の実例]﹁左衛門の陣にまゐり給ふ上達部の前駆(さき)ども、殿上人のは短ければ、おほさき、こさきとつけて聞きさわぐ﹂(出典‥枕草子︵10Ｃ終︶七八)
  

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