デジタル大辞泉
「本草和名」の意味・読み・例文・類語
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ほんぞうわみょうホンザウワミャウ【本草和名】
(一)平安初期の本草書。二巻。深根輔仁撰。延喜一八年︵九一八︶撰。唐の﹁新修本草﹂に記載の薬物について異名・起源・用途などを解説し、和名を記した一種の薬物辞典。
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本草和名 (ほんぞうわみょう)
平安前期にできた日本最初の漢和薬名辞書。大医博士深根輔仁︵ふかねのすけひと︶が醍醐天皇の勅命をうけて延喜年間︵901-923︶に著した。︽和名本草︾︽新抄本草︾などの書名のほか,︽輔仁本草︵ほにんほんぞう︶︾の名もあった。当時の官医のテキストであった唐の︽新修本草︾を主体とし,その他の書籍に収載されている薬物の漢名に和名を当て,和産の有無,産地を注記してあり,平安前期の日本国内の動・植・鉱物名を知るうえに重要な資料となっている。ただし,その同定に今日からみて誤りのみられるものがあるのは,いたしかたない。平安後期の︽医心方︾第1巻の諸薬和名は本書の引用である。刊本としては,多紀元簡︵たきもとやす︶が江戸幕府紅葉山文庫に古写本を発見し,諸書を参照して校訂を加え刊行した1796年︵寛政8︶刻本︵1802︵享保2︶市販︶の上下2冊本があり,それに訂正を加えた一本を底本とした︽続群書類従︾本があるが,それぞれ若干の相違があって,原形を決める復元定本はまだ刊行をみない。
執筆者‥宗田 一
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本草和名
ほんぞうわみょう
平安時代の本草書。918年(延喜18)ころに深根輔仁(すけひと)が著した。『新修本草』およびその他の中国本草書に収載されている薬物について、その別名、和名、産地などを記したもの。和産の薬物について、漢名に和名をあてたのは本書が最初である。現在に伝存するものは1796年(寛政8)に多紀元簡が復刻したもので、薬物の分類や配列をすべて『新修本草』に倣っているので、現在完本が残されていない『新修本草』の復原に際しても価値が高い。
[難波恒雄・御影雅幸]
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世界大百科事典(旧版)内の本草和名の言及
【医学】より
…これは,唐の︽新修本草︾に従い,254種の動・植・鉱物性薬の調製,保存および適応を記したものである。いま一つ,よく知られたものとして,[深根輔仁]︵ふかねのすけひと︶の︽[本草和名]︵ほんぞうわみよう︶︾(918)がある。これは,鉱物性薬81種,植物性薬509種,動物性薬182種の和名を収録したものである。…
【生薬】より
…そのころは生薬は輸入品で貴重であったため,国産の代用品を探索,開発する努力が行われ,︽万葉集︾に薬猟(くすりがり)の歌が記されている。本邦最初の本草書は︽本草和名︾(深江輔仁,918)で,和漢名を対照し,和産の有無,産地が記されている。江戸時代には医療の普及によって生薬研究が著しく進歩し,[本草学],やがて博物学へと発展した。…
【深根輔仁】より
…輔仁は医学を典薬頭菅原行貞に学び,左衛門医師より権医博士,大医博士に累進した。著書に,日本最初の薬名字書︽[本草和名]︵ほんぞうわみよう︶︾をはじめ,︽養生鈔︾︽掌中要方︾などがある。︻宗田 一︼。…
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