精選版 日本国語大辞典 「苗売」の意味・読み・例文・類語 なえ‐うりなへ‥【苗売】 〘 名詞 〙 春の終わり頃、野菜や草花の苗を売り歩く人。《 季語・春‐夏 》[初出の実例]「苗売の通る跡より初なすび」(出典:俳諧・享和句帖‐三年(1803)四月一四日) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「苗売」の意味・わかりやすい解説 苗売 (なえうり) 晩春,初夏のころ,野菜や草花の苗を売り歩く行商人。独特の売声で呼び歩いたもので,平出鏗二郎の︽東京風俗志︾︵1898︶は︿苗やい,苗やい,朝顔の苗やい,唐蜀黍︵とうもろこし︶の苗やい,胡瓜︵きゆうり︶の苗やい,茄子︵なす︶の苗﹀と呼んだとしている。︽守貞漫稿︾によると,幕末ごろの京坂には,夜店の苗売があって行商はなく,江戸ではアサガオだけは別に︿朝顔売﹀がいて売り歩いていたという。夏近しを思わせる町の風物詩であったが,第2次大戦後はまったく姿を消してしまった。 執筆者‥西村 潔 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「苗売」の意味・わかりやすい解説 苗売なえうり 5月頃,草花や,ナス,ヘチマ,ヒョウタンなどの苗をてんびんでになって町中を売り歩いた人。﹁朝顔の苗や,夕顔の苗…﹂という独特の長く引いた呼び売りの声は,都会の初夏の風物の一つであった。江戸時代からみられたが,近年は姿を消した。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報