製紙工業
せいしこうぎょう
paper mill industry
原料の調整,抄造,仕上げの製紙3工程を行う工業。機械ずきと手すきの方法があるが,現在では紙幣など特別の用途を除く圧倒的な部分は機械ずきによる。パルプはそのままでは製紙に適さないので叩解 (こうかい) ,精砕などによって,繊維をほぐし,均一にしながら水を加えてどろどろに溶かし,それに引張り強度,吸水性や柔軟性を加えたりするために各種の薬品を添加する。それを第2の工程である抄紙機にかけて紙とする。仕上げでは,その紙を新聞用,包装用,板紙など,各用途別に分けながら,コーティング (塗工) によって,不均等性をなくし,紙面を均一にするものもある。紙ほど広く使用されている工業製品はほかになく,その消費量も文化の水準によって著しい差異があるが,世界中で平均年間1人あたり 39kgをこえている (1988) 。日本でも製紙工業は年々生産量をふやし,1989年の生産高は 2681万tと,アメリカに次ぎ世界第2位。巨大な設備,装置を用いて生産の行われる装置産業であり,価格競争に陥りやすいなどの問題をかかえ,業界再編の動きが活性化している。
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世界大百科事典(旧版)内の製紙工業の言及
【紙・パルプ工業】より
…新聞用紙や印刷用紙,ティッシュペーパーといった生活関連需要を満たす[洋紙]と,段ボール箱などの産業用包装資材の原紙となる[板紙],および両者の原料である[パルプ]を供給する工業をいう。パルプを原料として各種紙類を生産する産業を製紙業ないし製紙工業という。
﹇世界の概況﹈
パルプ生産はアメリカが世界の1/3余りを占め,2位のカナダを加えると北アメリカで世界生産の半分を占める。…
※「製紙工業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」