日本大百科全書(ニッポニカ) 「議員特権」の意味・わかりやすい解説
議員特権
ぎいんとっけん
国会議員に対し、その職責を十分に遂行しうるために認められている特権。不逮捕特権、免責特権、歳費などを受ける権利に分かれる。近代議会における議員特権は、身分制社会における特権身分の有していた種々の特権ではなく、議員の人権保障と国会活動の自由を議院の自律性によって確保することにより、最終的には議会制民主主義の保障を目ざした制度である。
﹇山野一美﹈
不逮捕特権
免責特権
歳費などを受ける権利
議員に認められる経済上の特権。議員の報酬は議員活動を支える経済的基礎で、憲法第49条は「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」と定める。議会制の初期は、議会は名誉職・無報酬の有財産者のみによって構成されたが、普通選挙制度の普及とともに報酬支給が行われるようになった。議員報酬は歳費とよばれ、一般職の国家公務員の最高額より少ない額とされる。歳費のほか議員には、退職金、JR自由乗車の特典、通信手当、旅費、滞在費、期末手当、議会雑費が認められ、また議員宿舎および事務室の提供、3人の秘書についての国費支弁などの経済的特典が認められている。
[山野一美]