![f:id:yumejitsugen1:20131117081104j:plain f:id:yumejitsugen1:20131117081104j:plain](http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/y/yumejitsugen1/20131117/20131117081104.jpg)
きのう、娘のボーイフレンドがやってきた。 僕は結城紬を着て和室で正座して、ふたりを迎えた。 カレと娘は二人並んで正座し、嫁がお茶を運んできて、湯のみに注ごうとしていたとき。 カレが唐突に、敷いていた座布団を横にはねのけ、がばっと両手をつき、﹁お嬢様と正式にお付き合いさせてください!﹂と言った。 そして、髭を触りながら、僕は思案する。
この男は、誠実だろうか? この男は、パチンコや競馬や女装や、そのほかもろもろの僕には言えない趣味はないだろうか? この男は、そもそも幸せになるチカラがあるのだろうか? この男は、どれぐらい稼げるのだろうか? この男は・・・・
凍りついた雰囲気。 で、嫁が横から口を出す。 ﹁まあまあ、先にお茶でも飲んでくださいな﹂
娘のボーイフレンドがやってきて、父の僕に挨拶するということは、昨今こういうことではない、ということは、ずっと前からわかっていた。 うちには娘がふたりおり、すでに長女は嫁に行っており、なにかと経験済みだ。 じつは、昨日、下の娘のボーイフレンドが我が家にやってきたのだ。 庭のクリスマスイルミネーションをしつらえてくれて、家族で夕食を食べた。 娘や嫁からまだ攻撃はないが、﹁どうだった?﹂﹁いいひとでしょ?﹂っていう質問攻めに、これからあうことになっている。 たしかに、営業で鍛えられているだけあってあたりの柔らかい好青年だった。 しかもおしゃれで男前ときている。 正直、とっても好印象であった。 ところで、父というものは、娘にはよい伴侶をみつけて欲しいと思っているが、案外あれやこれやと思い悩まないものだ。 そもそも、芸能人の結婚を見ていても痛感するが、選び放題の恵まれた女性が、男性を選びに選んだからといって、幸せになれるとは限らない。 父は、違う視点から男を見ることができるのだが、まあ、それも、当たり外れはあるもので、絶対ではない。 それに、﹁こりゃ絶対にダメだ﹂と思う相手を連れて来られて大反対したら、どうせ燃え上がって突き進んでしまうに決まっている。
僕が娘たちに望んでいるのは、娘たちに口を酸っぱくして言ってきたのは、伴侶選びのことではなく、自力で生きるチカラをつけよ、ということだ。 伴侶選びに失敗することもあるかもしれないし、伴侶選びは成功だったが、早死してしまうかもしれない。 結局のところ、誰かにすべてを預けてしまうような人生を送るんじゃない、と。
ちょうど、そんな僕の気持ちをうまく表現したポスターがあった。 このポスターはアメリカのMerch Achademyというカソリックの女子校が最近作ったものだ。
そこにはこう書いてある。 Don't wait for a prince. Be able to rescue yourself. Prepare for real life. 王子様を待ってちゃダメ。 自力で自分を救い出せるようになりなさい。 現実の人生に備えなさい。
You're not a princess. But you can still rule the world. Prepare for real life.
あなたはお姫様じゃない。 だけど、あなたの人生を支配することはできる。 現実の人生に備えなさい。
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