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スポニチ
本・書評
今週の本棚
﹁面白い!読ませる!﹂と好評の読書欄。魅力ある評者が次々と登場し、独自に選んだ本をたっぷりの分量で紹介。
新着記事
今週の本棚・次回の予定
6月15日の毎日新聞書評欄は﹃﹁喜劇﹂の誕生﹄ほか
2024/6/10 11:00 455文字
6月15日の毎日新聞朝刊﹁今週の本棚﹂で掲載予定の本の主なラインアップを紹介します。 ①渡辺保さん評﹃﹁喜劇﹂の誕生 評伝・曾我廼家五郎﹄︵日々野啓著・白水社︶ ②池澤夏樹さん評﹃外岡秀俊という新聞記者がいた﹄︵及川智洋著・田畑書店︶ ③東直子さん評﹃くるぶし﹄︵町田康著・COTOGOTOBOOK
少年の言葉で伝える﹁ロヒンギャ﹂ 世界難民の日に絵本発刊
2024/6/9 13:30 1494文字
ミャンマーで差別や迫害を受け、隣国バングラデシュの難民キャンプで避難生活を送る少数派イスラム教徒﹁ロヒンギャ﹂を描いた絵本﹁ぼくたちのことをわすれないで ロヒンギャの男の子 ハールンのものがたり﹂︵佼成出版社︶が世界難民の日の20日に発刊される。主人公の少年の言葉を通して、ロヒンギャが置かれている
新時代は女性の力 今も古びぬベストセラー、太宰治﹁斜陽﹂の魅力
2024/6/9 07:30 2249文字
太宰治の﹁斜陽﹂は戦後のベストセラー。﹁斜陽族﹂の言葉も生んだ。関西大文学部教授の増田周子︵ちかこ︶さん︵55︶は﹁今も古びず、現代にも通じるところもある。ぜひ読んでほしい﹂と薦める。その心は――。︻三角真理︼ 太宰を愛読する増田さん。なぜ﹁斜陽﹂にひかれるのか。 ﹁変わりゆく時代を見越した作品で
今週の本棚
岩間陽子・評 ﹃学校と日本社会と﹁休むこと﹂ ﹁不登校問題﹂から﹁働き方改革﹂まで﹄=保坂亨・著
2024/6/8 02:01 1265文字
︵東京大学出版会・3190円︶ ◇﹁遊びに行くから﹂ではなんでダメ? 心の中の壁ほど高いものはないのかもしれない。著者保坂亨氏は、虚弱で病気がちで学校をよく休んだらしい。以来、学校を﹁休むこと﹂にこだわり続けて教育学の先生になってしまった。 私も高度経済成長期世代であり、学校はおいそれと休んで良い
今週の本棚・CoverDesign
鈴木成一・選 ﹃東京手みやげと贈り物カタログ 新版﹄
2024/6/8 02:01 147文字
シンプルなイラストとフェンス状の銀色箔︵はく︶押し。柔らかでテンションある組み合わせが目を惹︵ひ︶く。装丁の主眼はまごうことなくスイーツ。和文書誌情報は右下に小さくある。 ◆ ﹁○○祝い﹂向けの品も案内する﹃東京手みやげと贈り物カタログ 新版﹄︵朝日新聞出版編著・1430円︶より。
今週の本棚
﹃カフネ﹄=阿部暁子・著
2024/6/8 02:01 468文字
︵講談社・1870円︶ 疲れ切って、掃除も自炊もままならない時、誰かに家事をやってもらえたらどんなに心が軽くなるだろう――。﹃カフネ﹄は一度でもそんな思いを抱いたことがある人に、そっと寄り添う小説だ。 法務局に勤める41歳の野宮薫子は、一回り年下の弟・春彦の急死によって打ちひしがれていた。弟は遺言
今週の本棚
﹃日米同盟の地政学 ﹁5つの死角﹂を問い直す﹄=千々和泰明・著
2024/6/8 02:01 489文字
︵新潮選書・1815円︶ 日米安保条約が東アジアの安定にどう寄与してきたか。今後、現実に可能性がある日本周辺での有事に際して、日米同盟はどう機能すべきで、私たちは何をどう考えておかなければならないのか。﹃戦争はいかに終結したか﹄で石橋湛山賞を受賞した研究者が分かりやすく論じる。 日本と台湾、朝鮮半
今週の本棚
藻谷浩介・評 ﹃﹁反・東大﹂の思想史﹄=尾原宏之・著
2024/6/8 02:01 1376文字
︵新潮選書・1980円︶ ◇﹁学生を蝕む学歴﹂その背後を突く 評者︵藻谷︶に東大信仰はない。﹁10代後半の受験結果など、語る意味も知る必要もない﹂と思うし、﹁東大卒は優秀だと考える性向の強弱は、その人の地頭︵=事実認識力︶の良し悪︵あ︶しと逆比例する﹂とまで考えている。 ……だがそんなことを、掲題
今週の本棚
﹃テレビドラマは時代を映す﹄=岡室美奈子・著
2024/6/8 02:01 496文字
︵ハヤカワ新書・1100円︶ テレビドラマは時代を映す鏡と言われる。早大教授の著者は長年、少なくとも第1話は全てのドラマを見続け、そのことを熟知する一人だ。 本書は2019年4月から4年間、本紙夕刊で連載した﹁教授・岡室美奈子の私の体はテレビでできている﹂をまとめた。放送中のドラマを軸に過去の番組
今週の本棚・話題の本
﹃あしたのお嬢~あしたのジョー聖地巡り~﹄=吉村和真
2024/6/8 02:00 830文字
マンガ史に燦然︵さんぜん︶と輝く、高森朝雄原作、ちばてつや漫画﹃あしたのジョー﹄。その連載開始55周年を記念して昨年刊行された、山田一喜漫画、講談社編﹃あしたのお嬢~あしたのジョー聖地巡り~﹄︵講談社・1980円︶を取り上げたい。 主人公は急に家出した父が置いていった﹃ジョー﹄を全巻読破した令和の
今週の本棚
川畑博昭・評 ﹃新装版 ペルーからきた私の娘﹄=藤本和子・著
2024/6/8 02:00 2088文字
︵晶文社・1980円︶ ◇彼女が語らない部分を知り理解すること この本を手にしてまず、帯文の紹介に目がとまった――﹁伝説の名翻訳者・エッセイスト、幻の名著復刊!﹂。一九八四年に出版されたこの本は、四〇年の時を経て、﹁新装版﹂として再び世に出された。南米ペルーを書名に含む本はけっして多くはない。二〇
今週の本棚・著者に聞く
﹃海を破る者﹄=今村翔吾さん
2024/6/8 02:00 866文字
◆今村翔吾︵いまむら・しょうご︶さん ︵文藝春秋・2200円︶ ◇差別とは、つながりとは何か 中世日本が経験した大きな危機、元寇︵げんこう︶。﹃海を破る者﹄は、元︵モンゴル帝国︶の侵略を防いだ立役者、河野通有︵みちあり︶を主人公に﹁人はなぜ争わねばならぬのか﹂を問う小説だ。 河野家は伊予の名門だっ
今週の本棚
﹃能力で人を分けなくなる日 いのちと価値のあいだ﹄=最首悟・著
2024/6/8 02:00 487文字
◇最首︵さいしゅ︶悟・著 ︵創元社・1540円︶ 10代以上のすべての人に向けられた﹁あいだで考える﹂シリーズの一冊。著者は80代。東京大学で助手を27年間務め、そのあいだに第4子星子︵せいこ︶さんが誕生。ダウン症だった。小さい頃は歩いたりしゃべったりしていたが、やがて視力を、次いで言葉を失い、歩
今週の本棚・情報
ベストセラー
2024/6/8 02:00 187文字
<1>NHK大河ドラマ・ガイド 光る君へ 後編︵大石静作、NHKドラマ制作班監修・NHK出版︶ <2>日向坂46 松田好花 1st写真集 振り向いて︵松田好花著、岡本武志撮影・講談社︶ <3>クスノキの女神︵東野圭吾著・実業之日本社︶ <4>成瀬は天下を取りにいく︵宮島未奈著・新潮社︶ <5>ポケ
今週の本棚
﹃人殺しは夕方やってきた﹄=マルレーン・ハウスホーファー著、松永美穂・訳
2024/6/8 02:00 474文字
︵書肆侃侃房・2310円︶ 長篇小説が鳥瞰︵ちょうかん︶図とすれば短篇小説は虫瞰︵ちゅうかん︶図。人生の一断片を切り取って、じっくりと観察する。 長篇﹃壁﹄で知られるオーストリアの作家︵一九二〇―七〇︶によるユーモアと優しさ、そして哀︵かな︶しみに満ちた短篇集。 ﹁少女時代の思い出﹂﹁大人の生活﹂
今週の本棚
斎藤環・評 ﹃センスの哲学﹄=千葉雅也・著
2024/6/8 02:00 1352文字
︵文藝春秋・1760円︶ ◇表現とは症状であり人生なのだ、と ﹁センス﹂という言葉はどうも苦手だ、とセンスがあまりよろしくない評者は考える。そこには精神科医として仕方のない事情もある。センスとは直感的な選別の才であり、それは膨大な﹁センスの悪い=ダサい﹂ものの排除の上に成立している。その意味でセン
今週の本棚・編集後記
﹁話題の本﹂で紹介している…
2024/6/8 02:00 163文字
﹁話題の本﹂で紹介している﹃あしたのお嬢~あしたのジョー聖地巡り~﹄を開き﹁聖地﹂がどこなのかを確かめました。登場人物が訪れた一角が東京都文京区の﹁東京ドームホテル﹂。あれ、その建物、漫画の連載当時にはできていなかったはずですが……。気になる方はぜひ﹃あしたのお嬢﹄を手に取ってみてください。︵代︶
今週の本棚・なつかしい一冊
辛島デイヴィッド・選 ﹃少年﹇新訳版﹈﹄=ロアルド・ダール著、田口俊樹・訳
2024/6/8 02:00 1013文字
︵ハヤカワ・ミステリ文庫 1364円︶ 将来はロアルド・ダールのような作家になりたい。そう小学校の卒業アルバムに書いたら、担当の先生にロアルド︵Roald︶をロナルド︵Ronald︶に勝手に直され、これだから大人は信用できない、と思ったことを覚えている。 不思議で少しダークなダールの児童文学のファ
今週の本棚
永江朗・評 ﹃ハルビン﹄=キム・フン著、蓮池薫・訳
2024/6/8 02:00 1325文字
︵新潮社・2365円︶ ◇伊藤博文に﹁否!﹂と叫んだ男 ひとりの青年が思い詰めている。あの男を殺さなければならないと。青年といっても、もう満30歳。3人の子供もいる。妻子とは離れて暮らし、末っ子の顔はまだ見ていない。青年の名は安重根︵アンジュングン︶。 あの男とは伊藤博文。初代韓国統監。その前は日
今週の本棚・なつかしい一冊
感じたことを、自分らしく 加藤シゲアキさんが影響を受けた1冊
2024/6/7 17:40 965文字
◇﹃大造じいさんとガン﹄=椋鳩十・著︵偕成社文庫 880円︶ 中学受験を志していた私にとって、小学校の国語の教科書は設問のための文章という感覚でしかなかった。それに授業はどれも塾で習ったものばかりで退屈で、物語に夢中になることもない。ただ唯一、図工だけが楽しみだった。なにかを作るのが好きで、将来の