![「火花」又吉直樹 (文藝春秋)](https://newsimg.music-book.jp/news_images/images/826224/large.jpg?1440392667)
電子書籍10万DL突破!快進撃の「火花」又吉、次回作へ向けて始動
龍 雅(りゅう みやび)
文藝春秋は19日、ピース又吉氏による第153回芥川賞受賞作「火花」の電子書籍版が10万ダウンロードを突破したと発表した。約3,000タイトルにおよぶ文藝春秋の電子書籍の中では最高のDL数になるとのこと。
また、21日には芥川賞の贈呈式が都内のホテルで行われ、記者を前に又吉氏は感謝と今後についてのコメントを述べた。
芥川賞贈呈式でのコメント
グレーのダブルのジャケットに8分丈のパンツ、くるぶしまでのブーツという出で立ちで登壇した又吉氏は、金屏風を背にこう語った。
「芸人としてデビューしたての頃から仕事がなくて、僕はアルバイトの面接もなかなか受かるようなタイプではなかったので、本当に生活が苦しかった」
「本好きやったら文章を書いてみたらと、コラムみたいな物を書かせてもらって、それからいろんな方にチャンスをいただいた。(中略)句集、エッセイなどを出版できたことが芸人として大きな自信に繋がった」
﹁お笑いライブで自分でライブをやったときに1万人、2万人という人数を集めることは出来ない。小説を普段読まない人とか、でもいつか読みたいなとか、興味はあるけど難しいからなかなか手に取る機会がないなと思ってた人が、そんだけいたんやっていうのが僕はそれがすごく嬉しかったんですね﹂
﹁芥川賞という候補になった時から﹁次どうすんねん﹂﹁すごいプレッシャーを感じるでしょう﹂って言われるんですけど、確かに最初の何日間かはゲー吐きそうやったんですけど、そもそも仕事も何もなかった時期が長くて、とにかく﹁舞台立ちたいな﹂、﹁自分の書いたものを人に読んでもらいたいな﹂という時期が長かったんで、どうなろうとも表現出来る場所を与えてもらえてるということが、すごくうれしく思ってます。ありがとうございます﹂
﹁︵芸人と作家どっちで行くのと訊かれたときに︶芸人100%で行きます。それ以外の時間で文章を書いていきますという話をするんですけど、どっちが上とかじゃなくて僕にとって両方必要だなと思っています。今回芥川賞を受賞することによって、次を書かないと言うのはすごく失礼なような気もしますし、書くべきだと思ってるんで、面白いものを書きたい﹂
緊張した面持ちでの会見ではあったが、又吉氏は次回作執筆への意気込みをみせた。
驚異のベストセラー﹁火花﹂は今後の試金石となる作品
文藝春秋の電子書籍では初の10万ダウンロード突破という快挙もさることながら、紙媒体では単行本の累計発行部数239万部、作品全文を掲載した﹁文芸春秋﹂9月特別号の発行部数も105万部を超えるなど驚異の快進撃を見せている﹁火花﹂。 随所にみられるお笑い芸人としてのネタと感覚、そして芸人の生き様と芸術論が詰まった﹁花火﹂がエンターテイメント小説ではなく、純文学として評価されたことが今後の又吉氏の創作活動に対して大きな影響を与えるであろう。 贈呈式でのコメントでは若手芸人時代本当に生活が苦しかったと述べているが、本作の中でもその若手芸人の生活の一端が垣間見える。苦しかった若手時代を乗り越えた又吉氏が今回の大ヒットで新しい境地に立ち、今後作品のモチーフをどのように変化させ、この﹁火花﹂を越える作品を書けるのかどうか注目の集まるところである。 ﹁火花﹂では芸を極めようとする芸人の性︵さが︶を通じ、温かい目線を持って人間賛歌を描いた又吉氏。﹁面白いものを書きたい﹂と言う氏の次回作に、大いに期待したい。﹁火花﹂あらすじ
売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩神谷に出会った。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷と笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に﹁俺の伝記を書け﹂と命令した。彼らの人生はその後、どう変転していくのか。二人の運命は……。 >﹁火花﹂作品ページへ今、あなたにオススメ
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