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自民党の安倍晋三総裁が、フェイスブックの活用を加速している。日常の活動報告が頻繁に更新されるのはもちろん、マスコミ報道への反論も多い。いわゆる「カツカレー問題」にも反論したほか、安倍内閣時代の原発対応を批判した記事を「まったくのデタラメ捏造記事」とまで断じている。
カツカレーは「会場費込みの値段で参加した議員皆でワリカン」と説明
安倍事務所では、フェイスブックに公式ページを開設する以前から、週刊誌報道などについて厳しい批判を展開してきたという経緯がある。この指摘の場がフェイスブックに移行した形だ。
2012年9月30日には、﹁3500円の豪華カレーを食べていた﹂とネット上で話題になっていた件について、
﹁会場費込みの値段で参加した議員皆でワリカンしたものです﹂
と事実関係を説明。この時は、騒動を報じた報道も踏まえた上で、
﹁今や、インターネットでマスコミの発言も精査され、このカツカレー論争等 ジョークの対象となります。何れにせよ、カツカレーがゲンが良かったのも事実ですね﹂
と受け流す余裕すらあった。
サンデー毎日を﹁まったくのデタラメ捏造記事﹂と非難
だが、10月2日の書き込みは、
﹁ねつ造や間違った事実に基づく誹謗中傷には、黙っているわけにはいきません﹂
と、調子が強くなった。批判されているのは、﹁サンデー毎日﹂12年10月14日号に﹁﹃津波は大丈夫﹄の消せない大罪﹂と題して掲載された記事。記事では、日本共産党の吉井英勝衆院議員が、安倍氏の首相在任中の06年12月13日に提出した質問主意書を紹介。記事によると、主意書では、
﹁地震や津波で送電設備が倒壊すると外部電源が得られなくなり、非常用のディーゼル発電機やバッテリーも動かなければ、原発の冷却機能が失われる恐れを指摘﹂
したが、答弁書には﹁素っ気ない回答が並んだ﹂結果、
﹁津波に襲われた福島第1原発を﹃予言﹄するような指摘を、十分な調査をせずに﹃大丈夫だ﹄と受け流したのだ﹂
と、当時の政権を批判した。それに対して、安倍事務所のフェイスブックでは、
﹁吉井議員の質問主意書には﹃津波で外部電源が得られなくなる﹄との指摘はなく、さらにサンデー毎日が吉井議員の質問に回答として引用した政府答弁書の回答部分は別の質問に対する回答部分であって、まったくのデタラメ捏造記事という他ありません﹂
などと記事を猛烈に批判した。
確かに当時の吉井議員の主意書では、地震で鉄塔が倒壊した結果外部電源が得られなくなるリスクが指摘されているものの、﹁津波で外部電源が得られなくなる﹂との指摘はなく、津波については、﹁引き波﹂で海からの取水ができなくなる可能性を指摘しているに過ぎない。確かに、主意書の紹介の仕方としては不適切だと言えそうだ。
サンデー毎日は﹁正しい報道であったと認識しております﹂
また、安倍事務所は、﹁政府答弁書の回答部分は別の質問に対する回答部分﹂とも主張している。記事で引用された回答部分は
﹁お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全確保に万全を期している﹂
というもの。これに対する主意書の質問部分は、
﹁焼損が発生した場合に、放射能汚染の規模がどのようなものになるのかをどう評価しているか﹂
となっており、記事では﹁核燃料棒が焼損した場合など想定される原発事故の詳細を説明するように求めた﹂と書いている。
主意書の﹁焼損﹂は、﹁核燃料の焼損﹂を意味しているため、この点については、﹁全くのデタラメ﹂という批判は当たらなそうだ。
なお、潟永秀一郎・サンデー毎日編集長は
﹁正しい報道であったと認識しております﹂
とコメントしている。