後藤弘茂のWeekly海外ニュース

DRAMとNANDフラッシュが終わり、新不揮発性メモリの時代が来る



●DRAMとNANDを置き換える新メモリの時代が来る?

 DRAMNAND

 DRAMNAND2寿

 10nm10nmDRAMNANDNAND3DDRAM4F2

 DRAMNAND

 DRAMNAND(NVM:Non-Volatile Memory)STT-RAM(STT-MRAM,Spin-Transfer Torque RAM:)PCRAM(PRAM,Phase-Change RAM:)ReRAM(RRAM,Resistive RAM:)3DRAMNAND12

 DRAMNANDDRAMNAND1

 SRAM-
DRAMNAND

 DRAMNANDSanta ClaraFlashFlash Memory Summit 20121Flash Memory SummitDRAMNAND(2012)
Flash Memory Summit2012会場会場となったSanta Clara Convention Center

 SK hynixSK hynixFlash Memory SummitProspect for New Memory TechnologyDRAMNANDRambus

 DRAMNANDDRAMDRAM(Leakage)DRAM

 DRAM30nm3xnm20nm2xnm20nm2ynm10nm1xnm1ynm1znm
DRAMのプロセス技術とダイエリア
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DRAMのコストのトレンド
DRAMのコストとスケーリング

●キャパシタのアスペクト比が限界に近づくDRAM

 DRAMの微細化のポイントは、DRAMでは電荷を蓄えるセルキャパシタの容量を、できる限り保たなければならないことにある。キャパシタが小さくなると、蓄えられる電荷が少なくなり、DRAMを現在のスペックで働かせることが難しくなる。しかし、微細化とともにメモリセル面積は小さくなる。そのため、DRAMはセルキャパシタを縦に細長くして容量を稼いできた。下の図はスタックキャパシタの概念図で、セルが小さくなるにつれて、円筒をひたすら縦に伸ばしている。

DRAMのプロセス技術とセルのキャパシタ
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 SK hynixSK hynix2011SEMATECH Symposium Korea(pillar:)(A/R)3xnmA/R 2520nm2xnm5020nm2ynmA/R 601xnmA/R 100810
キャパシターのピラーのアスペクト比
Sung Wook Park氏(Executive Vice President, SK hynix)

 Flash Memory Summitでは、このアスペクト比がどれだけ難しいかが、建築を例に取って説明された。SK hynixのSung Wook Park氏(Executive Vice President & Head of Research and Development Center, SK hynix)は、現在世界最高のビルの「Burj Khalifa」のアスペクト比はたった6であるのに、DRAMセルキャパシタは3xnmですでに25に達してしまっている。それもキャパシタを1本だけでなく、DRAMメモリセルの数だけ林立させなければならない。

キャパシタの実現

 下は過去数年のプレゼンテーションだが、アスペクト比25の3xnm世代で、すでにチャレンジとなっている。アスペクト比を100またはそれ以上に上げて行くことは、量産レベルで見ると、極めて難しい。こうしたSK hynixの資料を見ると、DRAMの微細化は、かなり困難なものになっていることがわかる。

DRAM微細化の課題

 DRAMDRAM6F28F28x7xnm6F28F26F275%

 6F24F24F21/NAND SLC(Single-level Cell)4F24F26F24F24F266%25nm4F220nm6F2DRAM3DDRAM
DRAMのメモリセル
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●メモリセルに格納できる電子の数が減って行くNAND

 NANDフラッシュも、現在は容量増加が鈍化している。現在の20nm台のプロセスでは、MLC(Multi-Level Cell)で64G-bitチップが経済的なダイサイズ(半導体本体の面積)の限界だ。128G-bitになると、3ビット/セルのTLC(Triple-Level Cell)か、ダイサイズの大きなMLCとなってしまう。12~15カ月で2倍というNANDの急激な大容量化(=低価格化)は、もはや過去の話だ。

NANDフラッシュのプロセス技術とダイサイズ
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NANDフラッシュのプロセス技術と密度
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 NANDの容量増加が鈍化した理由の1つは、微細化のペースが一時緩んだことにある。NANDの製造プロセス技術は、現在は19~20nm台のプロセスが先端だ。19nm前後が1xnmプロセスで、今後は1ynmプロセスなど、10nm台でさらに微細なプロセスへとシュリンクして行く見込みだ。しかし、DRAMと同様に微細化のハードルは高く、スムーズには行きそうにない。

 最大のハードルはメモリセルのゲートに蓄積できる電子の数がどんどん減ってしまうこと。SK hynixのSung Wook Park氏は、Flash Memory Summitのキーノートスピーチで、1xnm以下のプロセスになると、ゲートに蓄積できる電子の数が100個程度、制御しなければならない電子数が10個程度に減ってしまうと指摘した。そこまで電子数が減ると、制御は極めて難しくなる。NANDの場合は、多値のMLCなどでは、複数の電圧値で異なるビットを表現するため、制御しなければならない電子数は小さくなる。

NANDの微細化
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 NANDのこうした微細化の壁を越えるために、メモリベンダーは過去数年、NANDメモリセルの3Dスタック化に取り組んできた。ダイ上でメモリセルを3D積層する技術で、ダイの3D積層とは異なる。3Dメモリセル化がうまく行けば、同じプロセス技術のままで、メモリ容量を増やすことができるようになる。単純計算で、2層で倍容量、4層で4倍容量となり、それぞれプロセスノードを70%と50%微細化するのと同じ効果がある。

 しかし、実際には3D NANDも歩留まりとデータリテンションなどの面でハードルが高いとSK hynixのPark氏は説明する。現在のNANDの焦点は、はたして、3D NANDセル技術が、量産レベルで実用になるのかどうかという点にある。3D NANDで解決できると楽観視する声もある一方で、懐疑的な声もある。


●電荷から抵抗へと変わるメモリセルの基本構造

 NAND3D NAND

 DRAMNANDDRAMNAND/DRAMNANDSK hynix
新しいメモリの必要性
David Eggleston氏(Senior Vice President, Non-Volatile Memory Storage Division, Rambus)

 新不揮発性メモリにはさまざまな技術があり、量産チップとして本当に実現するのがどのメモリになるのか、今ひとつ判断が難しかった。しかし、現在は、STT-RAM、PCRAM、ReRAMの3種類に絞られつつあるように見える。Flash Memory Summitでは、RambusのDavid Eggleston氏(Senior Vice President, Non-Volatile Memory/Storage Division, Rambus)が、キーノートスピーチ「Revolution! The Impact of Emerging Memory Technologies」の中で、3種に集約する動きを示した。ちなみに、Rambus自身はこの動きの中で、NANDの置き換えとしてのReRAMを狙う。

不揮発性メモリ

 STT-RAMPCRAMReRAMSK hynixRambus31使
新しいメモリのコンセプト
メモリの種類

 それぞれのメモリ技術については、別記事で説明するが、重要なポイントは、3種のメモリ技術に共通性があることだ。SK hynixの下のスライドを見ると、それがよくわかる。これはDRAMと3種の新メモリの比較で、電荷を蓄えたキャパシタから、抵抗値を変えるレジスタへとデータの格納方式が変わることを示している。NANDについても似たようなことが言える。電荷から抵抗へと変わることが、本質的な変化となる。

不揮発性メモリの比較