Microsoftが「Windows Technical Preview」を開始した。2015年後半には発売されるであろうWindows 10のプレビュープログラムだ。とりあえずはそう信じたい。でも、もしかしたら違うかもしれない。そこが“10”の意味するところかもしれない。この連載では、おそらくは頻繁なアップデートを繰り返しながら最終版に近づいていくであろうこのプログラムを追いかけカウントダウンしていく。
古いPCでも十分な必要要件
Technical Previewというネーミングからも分かるように、このプログラムはPCに詳しいユーザーを対象としたものだ。将来のWindowsをいち早く体験できる、ごく初期のプレビュー版であること、さらに、開発中のバージョンであることに注意しろとされている。これらの注意を含め、インストールする前の注意事項をよく読んでから試すかどうかを決めてほしい。
システム要件は次の通りだ。
●CPU: 1GHz以上
●メモリ: 1GB(32bit)または2GB(64bit)
●ハードディスクの空き容量: 16GB
●グラフィックス カード: Microsoft DirectX 9グラフィックスデバイス(WDDMドライバー付き)
●Microsoftアカウントとインターネットアクセス
特に問題のある要件でもない。現在Windowsが普通に稼働しているPCなら簡単にクリアできそうだ。
注目すべきは下記の文言だ。
プレビュー版の操作には、マウスとキーボードが最も適しています。タッチ操作のための改良は、将来の更新プログラムで組み込まれる予定です。
これを見ても、このバイナリが初期段階のものであり、これからどんどん変わっていくものであることが想像できる。さらに、
SP1を適用していないWindows 7を実行している場合、プレビュー版にアップグレードするには、ISOファイルをダウンロードする必要があります。Windows 7 SP1をインストールすれば、Windows Updateを使う方法でもISOファイルをダウンロードする方法でもプレビュー版にアップグレードできます。
という記述もある。現在のダウンロードページにはISOファイルのダウンロードリンクしか用意されていないが、この記述を見ると、Windows Updateを使ってのインストールができるようになる可能性があることが分かる。OSのバイナリのみならず、案内のページもまだTechnical Previewということのようだ。
日本語化は現時点では難しいがデータの表示や入力は可能
ダウンロードページに用意された英語64bit版ISOファイル WindowsTechnicalPreview-x64-EN-US.iso は、3.81GBあった。発表当日の午前1時を少し過ぎたところでダウンロードを開始したが、手元の環境では5分程度でダウンロードが完了した。
このISOファイルをDVDに焼き、ブータブルDVDを作成し、それを使ってインストールした。評価用に用意したのは、Windows 8.1が稼働しているノートPCで、ちょっと古いが2012年2月発売の﹁Let'snote SX1﹂だ。スペックとしては、Core i7-2640M、メモリ8GB、SSD 256GB、DVDスーパーマルチドライブ、1,600×900ドット表示対応12.1型液晶、Centrino Advanced-N+WiMAX 6250といったところだ。
出荷時のWindowsは、Windows 7 SP1だったが、Windows 8をクリーンインストールし、それを8.1に、そしてさらにアップデートし、Windows 8.1 Updateにした状態で評価用に使っていた。Windows Updateは全て適用してある。
8.1の環境で、作成したDVDをドライブにセットし、そのsetup.exeを実行してアップグレードを試みた。結局、前述のようにアップグレードができないことが分かり、新規にインストールするしかなかった。それによって、古いWindowsとユーザーファイルはシステムドライブのルートにWindows.oldフォルダとして移動され、新しいWindowsが起動するようになった。
デバイスドライバで確認する限り、いくつかドライバが見つからないものがあるようだが、今の時点ではわざとそのままにしてある。
インストール直後のデバイスマネージャ。いくつかのデバイスドライバが見つからない
セットアップの途中ではコンピュータ名も入力したのだが、起動後確認しても、そのコンピュータ名は反映されていなかった。
ちなみに、winverによる表示では、やはり﹁Windows﹂であり、Windows 10ではない。バージョンは6.4で、Build 9841とある。また、有効期限として2015年4月16日8時59分が明記されている。この日時はどのタイムゾーンのものかは明示されていない。Windows 8.1 Updateは、バージョン6.3(ビルド9600)なので、バージョンは0.1だけ進んでいることが分かる。
Winverでも、Windows 10であるとは明示されず、Windowsであることしか分からない。バージョン6.4(Build 9841)であることが分かるのみだ 英語版なので、すべては英語だが、表示については日本語もとりあえずは問題なく、日本語のIMEも用意されているので、入力も問題なさそうだ。通常は、英語版のWindowsでも、コントロールパネルの「言語(Language)」で、日本語言語パックをダウンロードしてインストールすれば表示言語が日本語に切り替わるのだが、現時点では日本語に設定することはできても、表示言語パックについては「A language pack isn't avalable」となっている。
現時点で日本語用の表示言語パックは用意されていない Windowsが新しくなる過程を体験しよう
起動してログオンすると、ノートPCであるにも関わらず、クラッシックデスクトップ環境からスタートする。個人のWindowsアカウントでセットアップしたところ、デスクトップの背景やタスクバーの位置なども他の環境と同期した。OneDriveを使った設定の同期は正常に行なわれているようだ。
最初のユーザーはMicrosoftアカウントが必須のようだが、2人目以降のユーザーの追加については、推奨はされないもののローカルアカウントの設定もできる。
パッと見て気がつくのは、ウィンドウの影が少し目立つようになっていることだ。アクティブウィンドウは、その影がさらに一回り大きい。ただ、これについては背景の色によっては気が付きにくいかもしれない。
また、タスクバーにはこれまでと同じようなスタートボタンがあるが、その隣には虫眼鏡のボタンが用意されていて検索を実行できる。さらにその右隣にはタスクや仮想デスクトップ切り替え用のタスクビューボタンがある。
デフォルトデスクトップのイメージ。スタートボタンの右に、検索ボタン、仮想デスクトップ切り替えボタンが用意されている 仮想デスクトップの切り替え画面。タスクの切り替えの機能を併せ持っている なお、スタートボタンをクリックすると、スタートメニューが表示される。このスタートメニューが目新しいといえば目新しい。左側はWindows 7時代を彷彿とさせるクラッシックなものであり、右側はライブタイルを表示するメトロ的な新しいものでもある。いわばハイブリッドスタートメニューだ。
そして、そこから「ストア」など、現状のストアアプリと呼ばれているものを起動すると、デスクトップ上のウィンドウとしても表示させることができるようになっている。以前から予告されていた機能がきちんと実装されていることが分かる。
噂のスタートメニュー。Windows 7タイプとメトロタイプのハイブリッドだ デスクトップには2個のアイコンが配置されている。1つはごみ箱、もう1つはWelcome to tech Previewという名前のショートカットアイコンで、Technical Previewのページにリンクされている。
ちなみに、これまでのように、マウスポインタをデスクトップ右下端にあてても、チャームは表示されない。チャームは廃止されるのかもしれない。では、どうやってシャットダウンさせるかというと、スタートメニューの最上部にユーザー名が表示されていて、その右端に電源ボタンが用意され、それをクリックすると、スリープ、シャットダウン、リスタートができるようになっている。スタートボタンの右クリックで表示されるメニューは現状とまったく同じなので、こちらからでも同様のことができるし、Win+Cを押すと従来のチャームも表示される。
スタートメニューのユーザー名の右端に電源ボタンが用意され、そのクリックで、スリープやシャットダウン、再起動などができる
そんなわけで、製品が出荷されるまでには、まだいろいろなところに変化がありそうだ。この新しいWindowsを追いかけ、何がどのように変化していくのかを確認しながらこの連載を続けていくことにしたい。ぜひ、ご愛読いたければと思う。