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この世のモノは見るまで存在しない“非実在性”は巨視的世界にも当てはまる

~NTTらが実証


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超伝道磁束量子ビット
測定方法

 実験は、超伝導磁束量子ビットを10mKの極低温に冷却して行なった。この温度領域では熱による状態励起が無いため、量子ビットを最低エネルギー状態(基底状態:-1)に用意できる。-1状態に用意した超伝導磁束量子ビットに2回の状態操作を行なった後に量子状態を読み出し、2回の状態操作の間に観測を行なう場合と行なわない場合で結果を比較した。

 1回目の状態操作によって-1と+1の重ね合わせ状態を生成。実在性が成り立っているのであれば観測前に既に状態が決まっているので、観測の有無によらず読み出しの結果は変わらないことが期待されるが、量子重ね合わせによって実在性が破れている場合には、観測によって状態が+1または-1に定まる。この重ね合わせ状態が実現し非実在性が現れるとき観測の有無による差は最も大きくなることが期待される。次に、観測が状態を乱さないことを確認するための実験を行なう(コントロール実験)。1回目の状態操作によって-1または+1状態を用意し、観測の有無で差を測る。この差が十分小さいことにより状態が観測によって変わらないことが分かる。実験の結果、メイン実験での差がコントロール実験での差を大きく超えており、電流状態という巨視的な量での実在性の破れを実証した。

 超伝導磁束量子ビットには毎秒10の12乗個の電子の流れに相当する電流が流れているが、今後は観測による状態の乱れを更に抑えた測定を行なうほか、超伝導磁束量子ビットの電流を大きくしたり、集団の超伝導磁束量子ビットを用いることでさらに巨視的なスケールでの実在性の破れの検証を目指す。