成田空港には、用もないのに行ったことがある。
広い空港内に、おみやげ屋さん、飲食店などモロモロ。むくんだ足をもんでくれるマッサージマシーンに座りながら、飛行機が見れた。大変に気分が良かった。
異国と外国の境目の、不思議なオミヤゲ屋的空間。あそこは素敵な場所だ。
羽田には、新しいぶん、それ以上の楽しさが、きっとあるに違いない、そう思っていた。そして、みんなが見落としてる魅力を探りたかった。
…とてもキレイな場所だったのだが、いわゆる、﹁旅テンション﹂をほとんど感じられなかった。
﹁これから飛行機に乗る人々の緊張感か高揚感﹂が、伝わってこない。
よく見ると、みんな、手荷物が少ない。ベビーカーなどの子供連れが多い。
日曜日だったこともあるんだけど…、ほとんどが空港の観光客ばかりだった。
つまり旅人がいない。
え、そういうものなの…。私もその一人だけれども。
﹁はらへった﹂という友人をなだめ、飲食街に行く。
時間はもう14時だったのに、激混み。 激ならび…!
当たり前だが、メニューのすべてが高い、空港値段だ。しかしレストランから飛行機は見えない…。
ちなみに高い肉を提供している焼肉屋だけすいていたが、さすがに入れなかった。
さ、作戦を練り直そうと、人のいない下のフロアの、24時間営業カフェのホットドックを食べた。 これがなかなか、美味しかった。
﹁観光情報センター﹂は、外国語のパンフレットと、日本語のパンフレット、いろいろ置いてあるところだった。
しかしその中でも、一番派手に展示されていたのは、羽田空港のある、太田区のものだった。
そして、﹃江戸小路﹄という和風ショップコーナーと、﹃トーキョーポップタウン﹄というお洒落ショップコーナーへ。
……ここはもう、正直に言おう。
規模が小さくないですか。空港の敷地が小さいのだろうから、しょうがないのだろうけれど、イオンレイクタウンの20~30分の1くらいの規模。ほんとに、あっというまに見れる。
厳選されたセレクトショップ群なんだろうけど…どのお店が悪いとか言わないけど、でも、欲しいものが無かった…。
︵あ、でもハローキティの和をテーマにした店だけ、魅力的だった。外国人じゃなくても欲しくなるアイテムが多かったです︶。
というか、この、あまり大きくない規模の商業施設を、あんなに大々的にテレビで宣伝してたのか、と、考えるとショックだった。
オープン当初は、完全に爆発してただろうなあ…。お店に入れない人がいっぱいで。混雑混雑で。
そして見たところ、外国人観光客は、ほとんどいなかった。アジア系の人を2、3人見かけたくらい。
これでいいのかなあ、まあこれでいいのか…。
カフェでぼんやり、﹁羽田空港、思ったよりテンション上がらない…﹂と、勝手に悲しんでいた。
空港はいつだってどこだって、高揚する場所なのに。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。
せっかく、せっかく、高揚するためだけに羽田に来たのにな。ラララー。
羽田でもらったパンフで、蒲田に
こんな余った気持ちのままじゃ帰れない、帰れないよ
そう思って、羽田から近い繁華街、蒲田へ行った。
空港でもらった、京急観光グルメマップ持参で。
正直、全く期待していなかったのだが…。
歩くと…。
爆安、中古CD屋さんのワゴンセール︵しかも3店舗!︶
古着の投げ売り!
いい感じの居酒屋さん!
…うひょーーー。とりあえず中古CDをじろじろチェック、10枚買った。
人工的な﹁街﹂から、リアルな﹁街﹂へ来たのだから、衝撃は大きい。街の情報量の多さに、目がまわりそうになった。人が生活してると、皆、勝手なことをす るから、そこらじゅうが﹁みどころ﹂になる。変な看板も、店のメニューも、そこらじゅうに駐輪してあるチャリのいいかげんな並べ方も、店の人も街の人も。
生生しい街、サイコー。