特集 2011年10月12日

棟方志功の絵を台無しにした店

この大作を台無しに!
この大作を台無しに!
 

  1975


 
 
  Web 

レトロでインパクトのあるレストラン

ここんとこずーっと群馬県桐生市ネタがつづいていますが、今回も桐生!
内容と関係ないけど桐生で見つけた消防署のシャッター
内容と関係ないけど桐生で見つけた消防署のシャッター


これも内容関係ないけど、群馬の観光キャンペーン中ということで、あちこちに貼られていたポスター。いまだにこのふたり(ヒデちゃん&イモリ)が群馬代表として扱われているのには違和感が……
これも内容関係ないけど、群馬の観光キャンペーン中ということで、あちこちに貼られていたポスター。いまだにこのふたり(ヒデちゃん&イモリ)が群馬代表として扱われているのには違和感が……


調1270

!
あるのはこんな建物のみ
あるのはこんな建物のみ
表にまわるとこんな感じ。ま、まさか……
表にまわるとこんな感じ。ま、まさか……
わーっ「芭蕉」って看板が出てる
わーっ「芭蕉」って看板が出てる
ここが「異国調菜・芭蕉」なのか……
ここが「異国調菜・芭蕉」なのか……
たしかにレトロなのは間違いないけど「70年以上営業している洋食レストラン」という情報から喚起されるイメージとはかなりズレのある外観。

レストラン、というよりは古民家……いや、むしろ廃墟ですよ、こりゃ。
山奥にひっそりと建っていそうなたたずまいですが、普通に街中です
山奥にひっそりと建っていそうなたたずまいですが、普通に街中です
壁はビッキビキにヒビ入ってるし
壁はビッキビキにヒビ入ってるし
謎の板が打ち付けられていたり
謎の板が打ち付けられていたり
年季が入っているにも程がある朽ち果てっぷり
年季が入っているにも程がある朽ち果てっぷり
12 
外観の重厚さに比べてポップすぎる看板
外観の重厚さに比べてポップすぎる看板
まあ、とりあえず看板も出ているし、営業しているんだろうということでお店に入ってみると……。
!




ああ、「この銅鑼を叩いてください」……
ああ、「この銅鑼を叩いてください」……
このドラをゴーンと鳴らすとお店の人が出てきてくれるシステムらしいです。豪快!
BGMなど全く流れていない店内に響き渡るドラの音
BGMなど全く流れていない店内に響き渡るドラの音
いったん広告です

狂おしいまでにレトロ

!
かなりキョーレツなインパクトを与えてくれた外観と比べたらだいぶマトモに見える店内ですが、それでも「洋食レストラン」というカテゴリーから考えると相当フシギです。
!
増改築を繰り返した古民家っぽく、やたらと店内が入り組んでおり、迷子になっちゃいそうなほど複雑な構造になっています……。
間接照明に照らされた馬の頭
間接照明に照らされた馬の頭
いきなり木馬&石仏
いきなり木馬&石仏
なにやら怖ろしげな仮面や
なにやら怖ろしげな仮面や
古くて薄汚れた人形たちが大量に……
古くて薄汚れた人形たちが大量に……
とにかく、なんか怨念のこめられてそうなアヤシゲな小物たちがいたるところにゴチャゴチャ置かれていて、田舎のおじいちゃんち的な空間になってるんですよ。

しかも窓が少なく、照明も間接照明的なのがちょこっとある程度なので店内は全体的に薄暗く、昼間だったからまだよかったものの、夜中にひとりで迷い込んだとしたらすっごく怖そうです!
!
客席はこんな感じ。

薄暗いながらも、小さな窓から日が差し込んできて、雰囲気はいいんですけどね。
各テーブルの頭上にはこのように鐘や
各テーブルの頭上にはこのように鐘や
鈴が吊されているんですが
鈴が吊されているんですが
コレはいわゆるファミレスでいうところの店員を呼ぶピンポーンね。入口にあったドラのようにガラガラ鳴らして店員さんを呼び出します。
!
メニューはこちら。まあ、フツーに洋食レストランらしいラインナップとなっておりますが、ここは創業以来のメニューだという「印度かりー」を注文してみました。
アヤシゲな食器に盛りつけられてきたらどうしようかと思ったものの、非常にフツーで安心しましたよ
アヤシゲな食器に盛りつけられてきたらどうしようかと思ったものの、非常にフツーで安心しましたよ
!
「印度かりー」という名前ではありますが、いわゆるインド風のカレーというよりはルーがもったりとした欧風カレーですね。
日本の古民家風なお店なので、味も昔の日本風カレーなのかと思いきや、スパイシーな本格派
日本の古民家風なお店なので、味も昔の日本風カレーなのかと思いきや、スパイシーな本格派
さて、ここまででもかなりフシギで面白いお店でしたが、この「異国調菜・芭蕉」の見所は他にもあるらしいのです。それがコレ!
!




!
1953年に描かれたこの壁画ですが、完成してすぐに漆喰で塗り固められてしまい、2008年に発掘&復元作業を行うまで見ることができない状態だったらしいのです。

……どうしてそんなことに!? ちょっと意味分かんないんですけど。
発掘作業中の様子
発掘作業中の様子
ちょっとした作品でも100万、200万の値段が平気でつけられている棟方志功。高さ2メートル超という巨大なこの壁画がどれくらいの価値になるのやら想像もつきませんが、そんな貴重なものを塗り固めて隠していた理由とはなんだったんでしょうか。
!
「店にあわない」で、棟方志功の壁画を塗りつぶした!? しかも描いた次の日に……モッタイネー!
いったん広告です

さすがに悪いと思ったらしいですが

!
ボク程度でも、お願いされてわざわざ描いた絵をソッコーやぶかれたりしたら、さすがにショックですからねぇ……。
!
……ということで、どうも棟方志功は亡くなるまでこの壁画が塗りつぶされたという事実を知らないままだったようです。ホント、バレなくてよかったですねー!
!


あ、経年劣化で朽ち果てていった結果こういう店ができあがったんじゃなくて、最初からこうだったんですね
あ、経年劣化で朽ち果てていった結果こういう店ができあがったんじゃなくて、最初からこうだったんですね


!
255調

2008年にこうやって漆喰をはがして復元されたそうです。この作業も緊張したろうなぁ
2008年にこうやって漆喰をはがして復元されたそうです。この作業も緊張したろうなぁ

全体的に異世界なレストランでした

 

 

●異国調菜・芭蕉
群馬県桐生市本町5-345
【電話番号】0277-22-3237
【営業時間】11:30~20:30
【定休日】火曜日 (第二又は第三の火曜日、水曜日連休)
▽デイリーポータルZトップへ
20240626banner.jpg
傑作選!シャツ!袋状の便利な布(取っ手付き)買って応援してよう

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ