雑記集
2009.10.15 青空文庫の作家別作品リストにあるゴースト著者の存在。
青空文庫の登録全作家リストには、既に1500人ほどの著作権が失効した︵あるいは失効予備軍︶著者の名前が連なっている。
これだけで一つのデータベースとしても使えるレベルだ。しかしまだまだ不完全なリストであるため、当サイトではその情報補足をしている次第である︵本家に匹敵する相当数の作家名が登録されてしまった︶。
ところでそんな登録全作家リストを見ているときに、どうやら登録全作家インデックスに名前がないものの、作家別の単独ページだけが存在しているケースがあるらしいことに気がついた。
例えば、漆間徳定︵1869-1944︶などがそうだ。登録全作家リストの﹁う﹂の項を見ても、彼の名前はない。しかし、リンク先にあるように、青空文庫内に彼のページは用意されているようだ。はしばしのリンクが切れていたり、読みが﹁うるしま﹂だけになっていたり、不自然なページではあるが、一応存在はある︵ちなみにこの著者の名前の読みは﹁うるま とくじょう﹂である︶。
他にも少し洗ってみると、色々出てきた。
江藤輝
落合三東里
幸田延
沢康雄
豊田義一
中尾茂
平岡吟舟
山川章太郎
山野勝
他にもありそうだが、10-20分ほどでこれくらい見つかった。なにせリンク元のページがないから、アドレスの﹁"http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person***.html"﹂の***に、適当な3桁ほどの数字を入れて、ちまちま洗い出すくらいしか出来ない。工夫すれば一気にハイパーリンクを生成して洗い出すことも出来そうだが、どっちにしたってリンク先のページを確認する必要がある。とりあえず今回洗い出すのはこのあたりにする。
さて、これらのページに共通する点だが、みんな名前の読みが不完全である。大体が苗字の読みしか登録されていない。ということは、登録全作家インデックスを自動生成する際に、名前の読みが不完全なためにエラーが出て、登録されなかったのかもしれない。たぶんこのようなページの存在は、あまり認識されていないような気がする。青空文庫のシステム運営に関わっていない人ならなおのこと。
これらのページをどう扱えばいいのかわからない。当サイトのリストには加えておくべきだろうか。死んで50年以上経って、こんな形でしか名前が残っていないというのも、なかなか寂しそうなものだ。いや逆に、よくこんなところに名前が残ってたな、ととるべきか。
2009.2.5 赤星ヨウとは誰か。
以前から青空文庫の登録全作家リストにある﹁赤星ヨウ﹂と言う名前が気になっていた。
度々検索をかけるも、どんな人物なのか全く情報がない。名前からして女性である気がしていたが、どのような著作を残している人物なのか全く不明だった。はじめは作家ではないかと思っていたが、何の著作も出てこない。
そして個人的にもう一つ考えていたのは、音楽関連の人物ではないかと言う予測。青空文庫の作家リストには、なぜか乙骨三郎や徳山たまきなど、著作があるかないかくらいの音楽家が最初から載っていたので、もしかすると何か関係があるのではないかと思っていた。単に名前の珍しさと言う共通点から結び付けたに過ぎないが、調べるうちにどうもこれが正解であることがわかってきた。
話が進んだのは、国会図書館の蔵書検索で﹁赤星 ヨウ﹂と検索した時だった。没後︵青空文庫では赤星ヨウは1942年没とされている︶の書籍を除外して検索すると、﹁吉原すずめ﹂や﹁二人袴﹂という長唄などの楽譜が検索にかかり、著者が﹁坂上要、赤星国清﹂とある。これはと思いこの名前で検索をかけると、案の定この二人は夫婦で、坂上要は坂上ヨウと表記されることもあるという。
つまり赤星ヨウとは、坂上ヨウが赤星國清と結婚した後の名前で、なぜかその名前で青空文庫に登録されている、という結論になりそうだ。坂上要はのちに四世 杵屋弥七を名乗り、三味線音楽の研究者として活動していたらしい、ということも判明した。
ちなみに赤星国清はピアノやヴァイオリンの奏者である。国清の生没年は今のところ不明だが、三味線楽譜の研究などを坂上要と共同で行っている部分もあるようなので、国清の著作権が切れていなければ、坂上ヨウの著作︵楽譜以外にあるかどうか不明だが︶を青空文庫に送り出すことは困難かもしれない。