2014.03.05

経常収支黒字減少のなにが問題なのか?

安達誠司 エコノミスト

経済 #国際競争力#貿易赤字


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国際収支統計に「損得勘定」を持ち込むことはできない






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いつになったら「対外資産が枯渇」するのか




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国際収支の発展段階説――日本は成熟した債権国


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意味のない議論








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じわじわと増加していく輸出金額


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輸入金額の増加は燃料輸入の急増によるものではない


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なぜ経常収支問題が騒ぎ立てられる?

このように、日本の経常収支黒字の急減、及び貿易収支赤字の拡大は、日本の製造業がグローバル競争に敗れつつあるために起こっている訳でもなく、原発再稼働が実現しないことによる燃料輸入の急増によるものでもなく、日本を除く世界経済の回復ペースが緩やかである一方、アベノミクスによる日本の内需の回復ペースが早い、という日本と世界の景気回復ペース(及び回復のモメンタム)の「非対称性」から生じた現象であると考えた方がよいと思われる。

日本の経常収支の先行きに警鐘を鳴らす論者の多くが同時に、(1)今後、経常収支赤字が定着、もしくは拡大すれば、日本の財政に対する信認が揺るぎかねない、よって、予定通り消費税率を2015年10月より10%に引き上げ、財政再建に対するコミットメントを強化すべきだ。(2)経常収支赤字の長期化を回避するためには、一刻も早く原発の再稼働を実現する必要がある、という考えを開陳している。

消費税率引き上げと原発の再稼働は、安倍政権の命運を左右しかねない大きな政治イシューであるが、今回の経常収支問題は、この政治イシューについての真剣な議論を回避するために、危機を意図的に扇動されて印象がなきにしもあらず、である。

サムネイル「Red Black」@Doug88888

http://www.flickr.com/photos/doug88888/6112052754/

プロフィール

安達誠司エコノミスト

1965年生まれ。エコノミスト。東京大学経済学部卒業。大和総研経済調査部、富士投信投資顧問、クレディ・スイスファーストボストン証券会社経済調査部、ドイツ証券経済調査部シニアエコノミストを経て、丸三証券経済調査部長。著書に『世界が日本経済をうらやむ日』(共著、幻冬舎)、『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、2004年日経・経済図書文化賞受賞)、『脱デフレの歴史分析――「政策レジーム」転換でたどる近代日本』(藤原書店、2006年河上肇章受賞)、『恐慌脱出――危機克服は歴史に学べ』(東洋経済新報社、2009年政策分析ネットワーク章受賞)、『円高の正体』(光文社新書)、『ユーロの正体――通貨がわかれば、世界がみえる』(幻冬舎新書)などがある。

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