明けましておめでとうございます!今年もどうぞ宜しくお願い致します。
さて、冬休みは本を読む時間がほとんど取れなかったのですが、読んだものの中でもっとも読み応えがあったのが、ワシントンポスト紙が12月29日・30日・31日と三日に渡って、﹁一連の金融危機がなぜ起こったのか﹂という点に関するレポート。
The Crash: What Went Wrong?
﹁投資銀行が拝金主義に陥って、リスクの高いサブプライム証券をガンガン売りまくったのが要因﹂という安易な話ではない。
オフバランスであったデリバティブ商品への開示規制強化の主張がどのようにして潰されたか︵しかも、ルービン、グリーンスパン、サマーズらの﹁三銃士﹂によって!︶ということを1998年に遡って、当時の発言や証言などに従い、かなり詳細に記述をされている。
︵しかも、あの Bob Greenwood とかも記事に協力した、などと出てくるのもニクイ︶
また、AIG破綻の原因となった子会社のAIG Financial Productsについて、20年前の創立時に遡って、どのような経緯でこの会社が生まれ︵ドレクセルを辞めた3人組とAIGのジョイントベンチャーだったとは・・・︶、厳格なリスク管理に定評があったこの会社が無謀なリスクを取るようになったかを、三部作に分けて、関係者へのインタビューを交えて論じている。
こうやって見てみると、﹁少なくともどれくらいのエクスポージャーがあるかとか、リスク管理の基礎となるような開示規制をデリバティブに求めるべきだったのでは﹂と後講釈では分かるのだが、かくいう私も涼しい顔をしてヘッジファンドへの規制強化に反対する論文を紹介していたのが、今となっては恥ずかしい︵ずるいことに、エッセイでは明確にはポジションを取っていないが、心は﹁規制なんてしちゃダメでしょう﹂と思っていました・・・︶。
ヘッジファンドに干渉するな︵日経ビジネスオンライン2007年1月22日︶
こちらのブログエントリーもご参照
という訳で、新年早々、英語になりますが、金融システム破綻を検証したこの名特集を、ぜひ読んでみてください!追って、AIGに関する特集は本ブログでも紹介する予定ですが。
投稿情報: 藤田聡 | 2009年1 月 7日 (水) 23:26
実は規制をしなさ過ぎることもriskなのだということが今回のことを通じて世の中で認識が広まると良いなと思います。
大炎上するまではいつの時代も正しい主張でも相手にしてもらえないところが人間というものの寂しいところではありますが。
投稿情報: Economist | 2009年1 月 5日 (月) 22:58