再起動、再起動、再起動 - ジョブズが遺した14のレッスン【12】 from 『WIRED』VOL.2

2011105Lesson12
再起動、再起動、再起動  ジョブズが遺した14のレッスン【12】 from 『WIRED』VOL.2

1992年5月1日。ドナルド・トランプ夫人のイヴァナ、女優のキャスリーン・ターナーとともに。Getty Images

文:ティム・ウー

スティーブ・ジョブズはハリウッドのやり方をシリコンヴァレーにもち込んでなお、ゲスなヤツと思われずにいることに成功した。だからだろうか、彼はどこかハリウッド草創期の実力者を思わせるところがある。ジョブズ同様に彼らは1910〜20年代の技術的で生真面目な業界をエンターテインメント産業へと作り替えた。それこそまさに、ジョブズがコンピューターと電話業界において成し遂げたことだ。

パラマウント映画の設立者アドルフ・ズッカーは、「観客を理解する」ところに自分の能力があると語った。ジョブズも同じ才能をもっていた。人は、コンテンツを作るよりも、より多く消費するだろうと見抜いていた。結果、iPad、iPhone、iPodは消費に向けて最適化される。観客は映画がもたらすファンタジーに身を委ねたがる。同じように、どんなに自由や選択を叫ぼうと、人は誰かに管理され、自分の代わりに選択・決定をしてもらいたがっているということをジョブズは理解していた。ジョブズが下した選択・決定を人々は愛した。

同時に彼には、映画の名監督がもっている審美的な規律が備わっており、何を画面のなかに残すかよりも、何を排除するかのほうが大事であることをよくわかっていた。あとひとつ何かが加わったらすべてがダメになってしまう寸前で、彼は「No」と言う。




TIM WU | New York TimesForbes稿The Master Switch.

TRANSLATION BY WIRED.JP