同時作業が得意な「2%の超人類」

マルチタスクの処理に優れる「スーパー・タスカー」が、人口全体の2%存在しており、彼らの脳は「普通の人たち」とは明確に異なっているという。研究者に話を聞いた。
同時作業が得意な「2%の超人類」

Ed PoorWikimedia Commons




わたしは、自分が書いた本『Brain Trust』の中で、ユタ大学応用認知ラボの主任、デビッド・ストレイヤーに疑問をぶつけた。同氏は、「注意散漫な運転」という領域でマルチタスク処理について研究を行っている。

ストレイヤー氏の研究では、マルチタスクを処理できず、どちらの課題もパフォーマンスが落ちてしまう人の割合は、全体の98%にも上ることが分かっている。しかし、2%の人たちは、実際にマルチタスクが可能だ。同氏はこうした人々を「スーパー・タスカー」と呼ぶ。


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attention restoration theory

[作業対象以外からの刺激や情報を遮断する形で、作業対象に注意(自発的注意)を向け続けると、そのうち疲労等が生じるが、非自発的注意を喚起するようなものと接することで、疲労等が回復するという理論(PDF)]

「作業対象が豊富にある環境でのマルチタスク処理」は前頭葉の神経細胞を疲れさせてしまうが、こうした作業を控えると、疲れ切った神経細胞が解毒され、休まり、回復するのかもしれない。ストレイヤー氏は、さらなる研究が必要だとすぐに補足しながらも、たくさんのエピソード的経験から「[自然環境の中で]3日も過ごせば、根本的に違った考えが経験され始める」と指摘している。




[使]

TEXT BY GARTH SUNDEM

TRANSLATION BY RYO OGATA, HIROKO GOHARA/GALILEO