所收――﹁風の便り﹂﹁新郎﹂﹁誰﹂﹁畜犬談﹂﹁鴎﹂﹁猿面冠者﹂﹁律子と貞子﹂﹁地球圖﹂
昨年の夏に出版せられた創作集﹁千代女﹂の以後の作品を集めて、ただいま讀者にお贈りする。ペエジ數の都合で、﹁千代女﹂以前の作品も編入せざるを得なくなつて、心苦しいのであるが、いま此の機會に再讀なさつても、充分に新鮮の感じがするやうに、心掛けて編輯した筈である。
卷頭、約百枚の﹁風の便り﹂は、文學界、新潮、文藝の三册子に、三分して發表したのを、このたび一つにまとめたものである。まとめてお讀みになると、また、ちがふ感じがすると思ふ。
ちかごろ私は、ひどく責任の加重を感じてゐる。大事な時だと思つてゐる。
十七年、節分の夜。