ぎたる彈く、 ぎたる彈く、 ひとりしおもへば、 たそがれは音なくあゆみ、 石造の都會、 またその上を走る汽車、電車のたぐひ、 それら音なくして過ぎゆくごとし、 わが愛のごときも永遠の歩行をやめず、 ゆくもかへるも、 やさしくなみだにうるみ、 ひとびとの瞳は街路にとぢらる。 ああ いのちの孤獨、 われより出でて徘徊し、 歩道に種を蒔きてゆく、 種を蒔くひと、 みづを撒くひと、 光るしやつぽのひと、そのこども、 しぬびあるきのたそがれに、 眼もおよばぬ東京の、 いはんかたなきはるけさおぼえ、 ぎたる彈く、 ぎたる彈く。