落穴と振子

THE PIT AND THE PENDULUM

エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe

佐々木直次郎訳




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Impia tortorum longos hic turba furores
Sanguinis innocui, non satiata, aluit.
Sospite nunc patria, fracto nunc funeris antro,
Mors ubi dira fuit vita salusque patent.
「ここにかつて神を恐れざる拷問者の群れ、飽くことなく、
罪なき者の血に、長くそが狂暴の呪文じゅもんはぐくみぬ。
今や国土やすらかに、恐怖の洞穴はうちこわされ、
恐ろしき死のありしところ、生命と平安と現われたり」
〔パリのジャコバン倶楽部の遺趾いしに建てらるべき市場の門扉にしるすために作られた四行詩〕




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(2)ポルトガル語で「信仰の行為」の意。宗教裁判所の異教徒処刑の判決宣告式、およびその処刑、ことに火刑を言う。ここではその火刑の意味である。――宗教裁判において有罪と決定されたものは、異端の帽と異端の服とをつけさせられ僧侶の行列に囲まれて、跣足はだしで市街をひきまわされ、最後に聖壇の前に立って死刑を宣告され、刑吏の手によって生きながらき殺されるのであった。
(3)Toledo ――スペイン中央部のトレード州の町。マドリッドの南西にある。
(4)普通よく見られるとおり、大鎌を肩にし、砂時計を手にしている老人の画。
(5)一インチの十二分の一の長さ。
(6)「死」のこと。――旧約ヨブ記第十八章第十四節、「やがて彼はそのたのめる天幕より曳離ひきはなされて懼怖の王もとおいやられん」

(7)Antonie Charles Louis Colinet Lasalle(一七七五―一八〇九)――ナポレオン一世の部下の有名な将軍。彼がスペインに攻め入ったのは一八〇八年である。




底本「モルグ街の殺人事件」新潮文庫、新潮社
   1951(昭和26)年8月15日発行
   1977(昭和52)年5月10日40刷改版
   1998(平成10)年12月25日78刷
※表題は底本では、「落穴おとしあな振子ふりこ」となっています。
入力:江村秀之
校正:鈴木厚司
2005年1月17日作成
2014年3月29日修正
青空文庫作成ファイル:
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