其中日記

(十一)

種田山頭火





   


















  








  









  








  







宿

  






  




  



  



  



  



  






  





  



  


※(「足へん+它」、第3水準1-92-33)




  



 
宿


  





  








  












  






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綿




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宿宿



 廿 






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調


  






  





  




宿

  



  



 廿



  



□俳句性は――
 表現上では、簡素、それは五七五の定型に限らない。
 内容についていへば、単純、必ずしも季感を要しない。

 

  






  









  











  









  
   
 
  
   
 
   
  
   
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便





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   今日の買物
一金十銭   ハガキ
一金三十銭  酒
一金二十九銭 煮干
一金九銭   玉葱
一金四銭   大根
一金五十五銭 酒
一金六銭   豆腐
一金九銭   揚豆腐
一金十四銭  松茸

□小鳥のおもひで







 廿 


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Over value
under value


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I am a rolling stone !




  








  



私も此事件を契機として断然更生します、作詩報国の心がまへで、余生を清く正しく美しく生きませう。



  













  











  















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林伍君に――
――所詮、無能無力、そして我がまゝ気まゝ、これでは苦しむのがあたりまへでせう、みんな身から出た錆で、どうしようもありません、人生は苦悩の連続ですね。――
緑平、澄太、比古君に――


  
     


 廿 





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一、社会的自覚  人間として
一、国民的自覚  日本人として
一、個人的自覚  俳人山頭火として

自然と不自然






 廿 







   
     




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 廿 

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 廿 









 廿 





宿


  







  



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※(「火+(麈−鹿)」、第3水準1-87-40)
便









  


便






  


綿



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便



調






  







 




  







   







  



病中は何もかも投げだして物事に拘泥しないことが第一大切だと思ひます、……のんきにのんびりと句でも作ることです。
 












  




調










  









  














  





  







  


  




椿








  









――わが南京攻囲軍は十三日夕刻南京城を完全に占領せり。
江南の空澄み渡り日章旗城頭高く夕陽に映え皇軍の威容紫金山を圧せり。――
(上海日本海軍部公報)


    


  







  









使


  



便











  

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宿

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  昭和十二年を送る
ことしもこゝにけふぎりの米五升
ことしもをはりの虫がまつくろ

 自己を省みて


    新古今集より
 窓近き竹の葉すさぶ風の音にいとゞみじかきうたたねのゆめ      式子内親王
   朗詠――風生竹夜窓間臥
 道のべに清水流るゝ柳蔭しばしとてこそ立ちとまりつれ        西行法師
 夕づく日さすや庵りの柴の戸に寂しくもあるかひぐらしの声      前大納言忠良
 さびしさに堪へたる人の又もあれないほりならべむ冬の山里      西行法師
 かりそめの別れと今日を思へども今やまことの旅にもあるらむ     俊恵法師
 あけばまた越ゆべき山の峯なれや空ゆく月の末の白雲         藤原家隆
 年たけてまた越ゆべしと思ひきや命なりけりさよの中山        西行法師
 遙かなる岩のはざまにひとりゐて人目おもはで物思はばや       〃
 ながめわびそれとはなしに物ぞ思ふ雲のはたての夕ぐれの空      藤原通光
・鈴鹿山うきことよそにふりすてていかになりゆくわが身なるらむ    西行法師
 風に靡く富士のけぶりの空に消えてゆくへも知らぬ我が思ひかな    〃


□苦しい節季であり、寂しい正月であつたが、今年はトンビを着ることが出来た、Iさんの温情を、Kが活かしてくれたのである、ありがたいことである。


柿の葉の広告文として、層雲に発表した感想――
句作三十年、俳句はほんたうにむつかしいと思ふ。
俳句は自然のままがよい、自己をいつはらないことである、よくてもわるくても、自分をあるじとする句でなければならない。
私はこの境地におちついて、かへりみてやましくない句を作りたい。
私の句集は、私にあつては、私自身で積みかさねる墓標に外ならない。

子に与へる句集
父らしくない父が子らしい子に与へる句集






底本:「山頭火全集 第八巻」春陽堂書店
   1987(昭和62)年7月25日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
※複数行にかかる中括弧には、けい線素片をあてました。
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2009年10月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。







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JIS X 0213

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