武者窓日記

牧野信一




たとへこの身は千里の山河を隔てようとも魂は離れはせぬぞよ。マーガレットの唇が神体に触れても嫉ましいのぢやないわい。――フアウスト




 姿西
 

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 調
 

調
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 姿
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 ※(「てへん+毟」、第4水準2-78-12)

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 ()西
 西()

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 姿
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 姿
 

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退
 
退
 

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 調
「……馬嘶ウマイナヽイテ白日ハクジツルル
 ツルギラシテ秋気シウキキタリ――」
 などゝいふ佳境に至ると、まつたく即興的な振付けで踊り狂つてゐる銀原と鶴巻の大剣舞のこなしよりも激しく、私は真に馬のやうな大口をカツと開いてあられもない嘶きの喉を振りしぼり、剣を鳴らす夢を描いて思はず腕を挙げて空を切ると、拳の先端が鬼のやうな太十の顔に厭といふほど衝突したのも夢中であつた。
月黒ツキクロクシテ雁飛カリトブヤタカ
 匈奴フンヌ トホ遁走トンサウ
 軽騎ケイキツテハント欲スレバ
 大雪タイセツ 弓刀キウタウツ」
 
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「一シン軽舟ケイシウリ 落日ラクジツ西山セイザンキワ
 ツネ帆影ハンエイシタガヒリ 遠ク長天ノ勢ヒニ接ス」
 と歌ひながら、大道狭しと肩で風を切つてはおし歩き、
芙蓉フヨウカズ美人ビジンヨソホ
 水殿スヰデン カゼキタリテ珠翠シユスヰカンバシ」
 



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退
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イヘ玉笛ギヨクテキアンコヱトバ
 サンズレバ春風シユンプウリテ洛城ラクジヤウツ……」
 
 
鹿調
()()鹿()()使

使
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縦令タトヘ然諾ゼンダクシテシバラ相許アヒユルスモ
 ツヒ悠々ユウ/\タル行路コウロコヽロ――とやか!」
 

 退

    ※(「螢」の「虫」に代えて「火」、第3水準1-87-61)() 姿

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 調
  
 姿



 姿

 
 姿姿
 

 
 
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 退
 姿

 





底本:「牧野信一全集第五巻」筑摩書房
   2002(平成14)年7月20日初版第1刷発行
底本の親本:「経済往来 第八巻第十一号」日本評論社
   1933(昭和8)年10月1日発行
初出:「経済往来 第八巻第十一号」日本評論社
   1933(昭和8)年10月1日発行
入力:宮元淳一
校正:門田裕志
2010年10月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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