竹久夢二




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お月様の美しさ
天使のような美しさ
「母様! お月様は小羊も寝かしてやるの?」むそうな顔をした幹子がたずねました。
「ええお月様は小羊でも山のうさぎでもねかしておやんなさるよ」
 幹子みきこ目蓋まぶたは、もう開けられないほど重くなって来ました。けれどお月様は、やっぱり窓からお母様や幹子の寝床をてらしました。
東の森を出る時に、
お月様は何を見た?
青い牧場の小羊が、
親の羊の懐へ
そろりと這入はいって寝るとこと
の坊やが母様と
んねするのを見ています。
 お月様は、にこにこしながら、子守唄こもりうたを歌うお母様と幹子とを見ていました。お母様もお月様のほうを見て笑っていらしたけれど幹子は何も見なかった。幹子はもうすやすやと眠ってしまったから。





底本:「童話集 春」小学館文庫、小学館
   2004(平成16)年8月1日初版第1刷発行
底本の親本:「童話 春」研究社
   1926(大正15)年12月
入力:noir
校正:noriko saito
2006年7月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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●表記について