桜さく島

見知らぬ世界

竹久夢二





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…………大阪おほさかをたちのいても、わたしが姿すがた
    たてば、借行輿かりかごをおくり………………
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…………奈良なら旅籠はたご三輪みわ茶屋ちやや…………
    五、三をあかし…………
ゆびおりかぞえ
…………二十日はつかあまりに四十りやう、つかひはたし
    て二のこる、かねゆへ大事だいじ忠兵衛ちゆうべえ
    ん…………
といつて、かたはらにくびをたれた忠兵衛ちゆうべえをみやつたガラスのにはなみだがあるのかとおもはれました。
…………科人とがにんにしたもわたしから、さぞにくかろう
    おはらもたとう…………
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ふるさとをはる/″\
こヽに紀三井寺きみいでら
はなみやこちかくなるらん
「おつるしなないんですねえ、母様かあさま
「さいなあ、阿波あは鳴門なるとをこえて観音様くわんのんさまのお膝許ひざもとへいきやつたといのう」
「でも、おつるはお祖母様ばあさん手紙てがみ母様かあさまにみせたの」
「さいなあ、おつる母御はヽごは、その手紙てがみをおつるふところからとりだしてみながらよみながらおなきやつたといのう」
母様かあさま、おつるんだの」
「なんの、ぬものぞいの。おつる観音様くわんのんさまのお膝許ひざもとへいつたのやがな」
母様かあさま、おつるはなんてつてうたつたの」
さい河原かはら砂手本すなてほん
一ツつんでははヽのため
二ツつんではちヽのため
三千世界さんぜんせかいおや
死出しで旅路たびぢをふだらくや
あすのたれか添乳そへぢせん
「か……母様かあさま
「なあに」
「お……おつるしなないんですねえ」
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()()()()椿()()()()()
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………おにはのまえの亀岡かめをか
   きみをはじめてみるときは

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底本:「桜さく島 見知らぬ世界」洛陽堂
   1912(明治45)年4月24日発行
※近代デジタルライブラリー(http://kindai.ndl.go.jp/)で公開されている当該書籍画像に基づいて、作業しました。
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記を新字にあらためました。
※文中の「…」は底本では1文字あたり4点ないしは5点の点線ですが、文字の幅に合わせた「…」で代用しました。
※歴史的仮名遣いから外れたものも、底本通り入力しました。
※促音「っ」の小書きの混在は底本のままとしました。
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:土屋隆
校正:田中敬三
2005年8月22日作成
2010年11月1日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について


●図書カード