女と情と愛と

田山録弥






 



 鹿鹿



 



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 狭斜の女を単に狭斜の女と思ふのが間違である。稼業ではあるけれど、竟に竟に稼業になり切ることの出来ないのが、かれ等の生活でありまた境涯である。体は売つても、魂まで売り切つて了ふことは容易に出来ないものと見える。此方が悪魔でなしに、向うが単に悪魔であるといふことは、それは不可能のことである。

 向ふに見える悪魔は、自分の悪魔が此方から行つて映つてゐるのだ。さう思へば間違がない。さう思つて、女に対してゐれば、女は必ずやさしい美しいものとのみなつて、かれの前に現はれて来るであらう。





底本:「定本 花袋全集 第二十四巻」臨川書店
   1995(平成7)年4月10日発行
底本の親本:「黒猫」摩雲巓書房
   1923(大正12)年4月15日
初出:「文章世界 第十五巻第一号」博文館
   1920(大正9)年1月1日
初出時の表題は「女・情・愛」です。
入力:特定非営利活動法人はるかぜ
校正:hitsuji
2021年12月27日作成
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