花二三ヶ所

田山録弥






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 春ののどかなところとしては、安芸あきの宮島なども捨て難いところがある。あの紅葉谷公園には、花はさう沢山はないけれども、それでも新緑に交つて八重が美しく咲いてゐたのを見たことがある。宇品から音戸瀬戸を越して、伊予の高浜に行くあたりも、春色は濃やかである。松山では桃と桜とが美しい城壁を彩つてゐるのが好かつた。





底本:「定本 花袋全集 第二十四巻」臨川書店
   1995(平成7)年4月10日発行
底本の親本:「夜坐」金星堂
   1925(大正14)年6月20日
初出:「週刊朝日 第七巻第十六号」
   1925(大正14)年4月5日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
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校正:hitsuji
2022年3月27日作成
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