消息一通

一九二四年一月一日 マールブルク

三木清




 新年お目出度う存じます。去年はハイデルベルクで迎へた正月を、今年はマールブルクで迎へました。大晦日の夜には悪霊を追払ふと云ふ意味で、昔独逸では戸外に盛んに発砲する習慣があつたさうです。今でも昔気質の人はこの夜十二時が打つと同時に、高い椅子の上から飛び降りると云ひます。新しい年の中へ勢よく飛び込むと云ふ意味ださうです。私は歳晩にあつて数年前に作つたひとつの歌をまた思ひ出しました。
つかのまの熱と光を求めんと象牙の塔を焼きし日もあり
     
  Hegelrei 
  Geister  Stil 姿 Morphologie 
     
 調便 Vielwisserei 
  fieri 
     
 () Erzeugen Erfassen  nat※(ダイエレシス付きU小文字)rliche Einstellung  interpretatio  Gegenstand  Aporetik 
  Horizont Sache  Sache 
 辿
     
 Genie interpretatio  Genie 調 interpretatio  recensio  interpretatio 
     
 沿
憧れいでて野に来れば
草短くて 涙すに
よしもなけれど遥かなる
もう思ふゆゑ嘆かるる。
    ×
あかつき光薄うして
寂しけれども 魂の
さともとむれば川に沿ひ
道行きゆきて還るまじ。
 それではいつまでも元気でゐて下さい。雪が降ればまたお便りしませう。





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2001224
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