天狗塚

横瀬夜雨




 
 ()()
 西

 鹿



 ()
()()
 ()()西()()()
 
 鹿()()()()()宿()
 廿



 ()

 以書附申進候爰許其後指たる義は無之候得共去朔日府中勢(田中愿藏)多人數繰出候由鯉淵村より注進有之土師村地内に於て田中勢と右村近郷御領地村々の百姓共と多人數打合双方即死手負人出來田中勢土師村放火家數二十軒及燒失
 結束すれば百姓も役に立つ。重たい鎧を着かざつたさむらひ共よりは強いことが分つて眞劍にあらがふ氣になつたらしい。

 太田市中警衛の爲當村百姓共千人許手分入口入口を固め候處人足の者共申合問屋雄介宅を初め十軒餘押込道具疊建物に至る迄悉く打破右十軒の者は野口館小菅館に籠り居候者共(天狗を指す) 先日中金子押掠の節手引致し候者の由
 去月晦日額田三郷の者共大勢申合竹槍を携へ同村百姓彌兵次宅へ踏込及亂暴居宅及所持の板倉打破役人下知をも不相用 加合村の者共荷擔いたし落合村庄屋周吾宅へも仕掛同樣の仕業に及
 去朔日朝六頃大宮に而早鐘を搗百姓大勢集り大宮彌三郎を打破夫より鷹巣村神宮を打破二手に分れ一手は八田村庄屋を打破東野村庄屋綿引勘兵衛同所神官 ※[#「(土へん+鹵)/皿」、U+2A269、192-8]子村大貫新介門井村神職大越伊豫小瀬村庄屋井樋政之亟那珂村長山伊介野口平諸澤健之介野口村長役關澤源兵衛夫より長倉へ赴候との風聞
 文献歴々。天狗がやうやく足もとを見透かされ初めたあかしである。庄屋の打こはしは天狗の宿をしたせゐであらう。神官がやつつけられてゐるのは天狗黨に加はつた神職の多いことを暗示する。
 河内郡(今稻敷)の各村では、天狗が押借に來れば、駒塚昆沙門堂の鐘をついて、竹槍鐵砲で征伐することを申合せたが、福田村名主金藏方へ金策に來た天狗は、かくと聞いて安中へ逃げ出した。皆は其後へ押込んで金藏方居宅文庫藏酒倉等を灰にし、金藏の逃げ込んだ徳龍寺まで燒いた。

 筑波山集屯の賊徒共悉御誅伐可有之旨其筋より御達に付村々に於ても其旨相心得賊徒共金銀押借に罷越候はゞ勿論潜伏又は徘徊致候はゞ竹槍其他得物を以無二念打殺可申候依て一村限り小前末々迄相互に申合置賊徒共へ同意内通致候者候はゞ假令親類懇意たり共聊無容赦取押最寄同村先へ早々可申出若見遁置追て相知候に於ては嚴重取糺候條難有差心得組合限申合萬行屆候樣大小惣代並寄場役人共精々世話可致
八月十八日
關東御取締
 筑波の天狗が散り初めたので、百姓の手を借りて押へよう。天狗と見たら二念無く打殺せといふのだ。あぶなくて仕方がない。のみならず壬生藩の軍令には、天狗打取候はゞ身に附候品々被下之とあり、尤こんな軍令がなかつたとしても、分捕らずにおく正直者もあるまい。



 西鹿鹿西
 ()()※(「竹かんむり/助」、第3水準1-89-65)



 ()()()()()
 西鹿
 西

 鹿
 鹿
 ()()()()
 U+2A269197-1
 ()
 
 八日大山崎と申所へ浪人二人上陸一人無刀にて船頭の裝をなし人家有之處へ出かく金鼓のあひづにて村々百姓共駈集り捕へ申候一人山上に居候由山を卷候處此浪人年十九計支度も相應襷をかけ數人を相手に防ぎ戰ひ中々手利云々終槍にて刺殺申候大將らしき身なりの由に候
 西()()()
 昨九日晝頃火急の義にて手配不行屆旁漸く一人突殺申候門前を通行致候浪賊十人位山林へ逃込候を村々人足繰出し山搜し致候得共見當り不申昨十日沓掛邊より沼縁不殘村人足罷出山林を押し清水頭と申山にて一人突留昨日小堤にて七人生捕稻尾にて一人突殺し當村にて二人突殺し蛇池にて一人生捕逆井村にて一人突留仁連村にて一人生捕都合十四人御地の振合に引比候而はまだ/\愚かの事に候
右書面認候内又々一人召捕候
 突留突殺しが大概竹槍である。嘗つて民間の財物を強奪し、又筑波山集屯の黨に加はりし者は、允許を待たずして死罪に處すべしとの命令だから、見ず知らずの旅人や、道具の新らしい棒天振などは、容赦なく斬られ殺されてゐる。


 西岡邦之介は鉾田から小川に脱したが、九月七日雨に遭ひて夜鶴田の原に宿つた者は六十人に足らなかつた。八日府中の城下を燒いて、栗原越にかゝつた時、土浦藩士に要撃せられ死する者十二人。酒丸に到りて五人、刈間にて二人。

 酒丸安樂寺境内裏の笹山にて緋毛氈敷二人自害一人は宇都宮左衛門 傍に肩先鐵砲受候者一人居候を生捕斬首
 宇都宮は紫緘の革の鎧陣羽織を着其上ござ着て打たれ申候大小一腰金子二十兩有之
 西岡自殺鎧傍に捨あり金銀糸にて縫候もの着用外三人亦綸子金銀の縫也
 栗原にてきり取候十二の首は俵に詰め馬につけ土浦へ送申候
 
 西
 

 
 

 
 






   19349627
5-86

 

2003721
201828

http://www.aozora.gr.jp/







 W3C  XHTML1.1 



JIS X 0213

JIS X 0213-


「(土へん+鹵)/皿」、U+2A269    192-8、197-1


●図書カード