青年と死

芥川龍之介




        ×

すべて背景を用いない。宦官かんがんが二人話しながら出て来る。
 ()()()
 
 ()()()
 
 
 ()
 姿
 ()()
 
 
 
 ()
 ()
 
 

        ×

 ()()
 
 
 

        ×

 ()()
 
 ()()
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ()()
 
 
 
 
 
 
 姿姿
 




        ×

声ばかりきこえる。暗黒。
Aの声 暗いな。
Bの声 もう少しで君のマントルの裾をふむ所だった。
Aの声 ふきあげの音がしているぜ。
Bの声 うん。もう露台の下へ来たのだよ。

        ×

女が大勢裸ですわったり、立ったり、ねころんだりしている。薄明り。
 
 
 
 
 
 
 ()
 ()
 
 
 
 
 ()
 
 
 
 
 
 
 
 
 ()()
 
 
 
 ()()
 
 ()()
 
 
 
 
 
 
 
 ()
 
 
  ()
  
 
 
 
 




        ×

AとBとマントルを着て出てくる。反対の方向から黒い覆面をした男が来る。うす暗がり。
 
 ()
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ()()
 
 
 
 ()()()()
 
 
  
 
 
 ()()
 
 

()()


        ×

兵卒が五六人でBの死骸を引ずって来る。死骸は裸、所々にきずがある。
――竜樹菩薩に関する俗伝より――
(大正三年八月十四日)





底本:「芥川龍之介全集1」ちくま文庫、筑摩書房
   1986(昭和61)年9月24日第1刷発行
   1995(平成7)年10月5日第13刷発行
底本の親本:「筑摩全集類聚版芥川龍之介全集」筑摩書房
   1971(昭和46)年3月〜1971(昭和46)年11月
入力:野口英司
1998年3月10日公開
2004年3月9日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について