叔父

豊島与志雄




 
 
 
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宿
調宿



 
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 宿

 
 
 
 

叔父さま。
何と申上げてよいか、ただ心から感謝いたすより外はございませんの。私は叔父さまに叱られるのが、誰よりも何よりも恐ろしゅうございました。そして、こんどのことについて、叔父さまこそ一番ひどく御怒り遊ばすものと存じておりましたのに……。ああ、何と申上げたらよろしいでしょう。叔父さまが一番よく私達のことを理解して下さいまして、そして真先に私達に同情して下さいましたことを、後で知りました時、私はもう泣き出してしまいそうになりましたの。叔父さまのお影で、私は凡てのことを許されました。父も母も許してくれました。そして私はもう公然と笹部と一緒に、自分の信ずる途を辿ることが出来るようになりました。
今から思いますと、私はあの時どうしてあんなことが出来たのか、自分でも恐ろしい気がいたしますの。でも私は、私の心は、ああするより外に致し方はなかったのですもの。やはり信じて進むことは大きな力でございますわ。叔父さま、どうぞ私達を信じて下さいませ。私達が本当の途を進んでることを、信じて下さいませ。
私は今、晴れ晴れとした力強い心で、叔父さまに御礼申すことが出来る気がいたしますの。ただそれだけ、それだけを申上げたくて、手紙を差上げることにいたしました。海からお帰りになりました頃、笹部と一緒にお伺いいたしましてもよろしゅうございましょうか。笹部もどんなにか感謝いたしておりますの。叔父さまは私達にとって、ほんとに力でございますの。お目にかかってからくわしく申し上げます。今は何も書けませんから、これきりにいたします。
御身体御大切になさいますよう祈り上げております。
   


 
 



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 調

 
 

 

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 調
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 調
 
 退
 

 使
 ※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)
 ※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)

 

 鹿鹿
 
 
 
 

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 綿
 

 


 宿

 

 
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 調
 
 











 
 

 

 

 

 
 


 

 


 
 
 便
 
 
 


 



 





底本:「豊島与志雄著作集 第二巻(小説2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」未来社
   1965(昭和40)年12月15日第1刷発行
初出:「改造」
   1925(大正14)年2月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2007年11月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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●表記について