道化役

豊島与志雄




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私は悲しい心でこの手紙を書かなければなりません。一日一夜、考え通してみましたけれど、やはり一切のことを申上げた方がよいと思いまして、進まぬペンを執りました。御許し下さい。私はただあなたにお力をつけてあげたい――お笑い下さいませ――あなたがどんなことをなさるか分らないと心配して、母といろいろ相談した上で、あんなことを致したのでした。そして思いがけなく、あなたの愛に接して……。あなたが私を愛していて下さることは分っていましたけれど、でも、それはちがった種類の愛だと思っておりましたの。それが、ああいうことになって……。私は今泣いています。泣きながら告白します。私には、愛する人がございます。そのためにも、私はあなたの愛を御受けすることが出来ませんの。御許し下さい。でも、あなたは屹度、この悲しみに堪えて下さいますわね。どんな悲しみにも堪えて下さいますわね。私はあなたの男としての力を信じます。私を愛して下さいますならば、この私の確信を裏切らないで下さいませ。私はたとえ泣きましても、あなたは泣かないで下さいますわね。(中略。ここに彼女は、人生はくいちがった歯車のようなものだとか、悲しみをふみくだいてゆくのが生きる途だとか、自分は過去にそうした途を辿ったが、今はただ一条の光を見つめて生きているとか、そんなことを書いていた。)あなたは今、いろいろな意味で、試練の時期にさしかかっていらっしゃると思いますの。そして力強い輝かしい未来のため、只今の試練に御堪えにならなければなりません。そうしたあなたを私は信じておりますの。私はあなたの愛を御受けすることが出来ないながらも、あなたのよきお友だちになりたいというのが、心の願いでございます。御許し下さいましょうか。(後略。ここには、あの時の約束を守って債券を最もよく役立ててほしいとの意味が述べてあった。)
 
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底本:「豊島与志雄著作集 第三巻(小説3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」未来社
   1966(昭和41)年8月10日第1刷発行
初出:「中央公論」
   1934(昭和9)年7月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2008年5月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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●表記について