怪異に嫌わる

豊島与志雄




 

 

 姿
 

 
 

 
 

 
 

 
 
使姿
 
 
――幻覚は子供たちをも捕えなかったのだ。彼等は怪談の暗示にもかからなかったのだ。この経験は、子供の精神の健全さと明朗さとを僕に信ぜさした。子供の精神に対するこの信頼を、僕は持ち続けてゆきたいと思う。この信頼は、やがて次の時代に対する信頼になるのだ。それにしても、怪異を知らない精神は淋しい。怪異はあらゆる夢想のうちの最も具象的な且つ最も飛躍的なものである。君はそういうものを知りたいと願うであろうか。然しもう、それは求めても得られないであろう。自分の精神力で創造し給え。
 

姿姿






底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社
   1967(昭和42)年11月10日第1刷発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2006年4月26日作成
2022年3月8日修正
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