扨も〳〵人間の一︵ひ世とよ︶ハが︵合て点ん︶の行ぬハ元よりの事、う︵運ん︶のわるいものハふ︵風ろ呂︶よりいでんとして、き︵ん睾た丸ま︶をつめわりて死ぬるものもあり。夫︵それ︶とくらべてハ私などハ、う︵運ん︶がつよくなにほど死ぬるバ︵場︶へでゝもし︵死︶なれず、じ︵自ぶ分ん︶でしのふと思ふても又いきねバならん事ニなり、今にてハ日本第一の人物勝憐︵麟︶太郎殿という人にで︵弟し子︶になり、日々兼︵か而ねて︶思付所をせ︵精い︶といたしおり申候。其故に私年四十歳になるころまでハ、うちにハかへらんよふニいたし申つもりにて、あにさんにもそ︵ふ相だ談ん︶いたし候所、このごろハおゝきに御きげんよろしくなり、そのおゆるしがいで申候。国のため天下のためちからお︵を︶つくしおり申候。どふぞおんよろこびねがいあげ、かしこ。
三月廿日
龍
乙様
御つきあいの人ニも、
内御見せ、かしこ。