夏芝居

折口信夫





使
寿
使
使使

()()



退




調
調姿調調
調()()




()()()()使

「……侍が、ずはと引き抜き切りかくる。……顔見れば、我が舅三河屋義平次……舅も俄かに力みを止め……水浅黄の帷子を汗に浸して尻ごみす。……」
この家の主人孫右衛門は、骨董の大あきうどである。田舎侍にばけて入りこんだ舅の手口をあばいた出入りの肴屋団七のはたらきで、一安堵した後は夜に入る。
「おれは今日の紛乱で、きつう気がのぼつたやら。戸棚の鍵の置き所をとんと忘れた。……宵から此が気にかゝつて、むしやくしやと寝られなんだに――、お中(娘の名)も寝冷えせぬやう、よく著て寝よ。」
江戸狂言と違つて、わりに季節感に乏しい大阪戯曲に此程はつきり、其が出て来るのは珍しい。次の五つ目は、娘お中と手代清七――玉島磯之丞の変名――との道行である。悪手代伝八はじめ、出入りの人たちが、迷子探しに出る。

綿姿姿
()()宿姿
宿
()()()()()鹿西
()()()()()()()
※(歌記号、1-3-28)思ひをも心も人に染めばこそ、恋とゆふ顔夏草や……※(歌記号、1-3-28)わかちしどけもなつもみぢ梢の雨や※(歌記号、1-3-28)男にちようどあを日傘骨となるとも何のその※(歌記号、1-3-28)情用捨もなつの露消ゆる姿の八重撫子、これや累の名なるべし



 殿便

使姿
使







姿






底本:「折口信夫全集 22」中央公論社
   1996(平成8)年12月10日初版発行
底本の親本:「かぶき讃」創元社
   1953(昭和28)年2月20日
初出:「苦楽 別冊」
   1948(昭和23)年7月発行
※底本の題名の下に書かれている「昭和二十三年七月「苦楽」別冊」はファイル末の「初出」欄に移しました。
入力:門田裕志
校正:酒井和郎
2020年7月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について


●図書カード