泣けよ、戀こひ人びと、神の身の﹁愛﹂の君だに、 愁しう歎たんのいはれを識しりて泣き入りぬ。 ﹁愛﹂は悲かなしみ堪たへ難く、いらつめたちの 雙さう眼がんに溢るる涙、眺めたり。 忌ゆ々ゝしき﹁死﹂の大おほ君ぎみは貴あてなる人も 憚はゞからず、さすがに徳を避けたれど、 なべての人が、たをやめの譽ほまれとふもの、 めぐしくも、毀こぼちたるこそ無むざ殘んなれ。 聞けよ、諸もろ人びと、﹁愛﹂は今、このたをやめを 褒めたたふ。見ようつそ身に現あらはれて、 眠れる如きかんばせの上にあらずや。 折ふしは天てん頂ちやう高くうちあふぎ、 かくて貴あてなる魂たましひのゆくへや求とむる、 塵ちりの世の濁にごりに染まぬたましひの。