山日記 その一

堀辰雄




 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 
 

             ………Wie vor sich selbst
erschreckt, durchzuckts die Luft, wie wenn ein Sprung
durch eine Tasse geht. So reisst die Spur
der Fledermaus durchs Porzellen des Abends
(蝙蝠は自分自身を怖れるかのやうに、空中にはためき出る。
さうして茶碗にひびが入るやうな工合に、蝙蝠は掠め過ぎる、
磁器に似た夕闇を横切つて……)

 
 
 
 
 
 





底本:「堀辰雄作品集第四卷」筑摩書房
   1982(昭和57)年8月30日初版第1刷発行
初出:「文學界 第五巻第十号」文藝春秋社
   1938(昭和13)年10月号
※初出時の表題は「山日記」です。
※表題は底本では、「山日記 その一」となっています。
入力:tatsuki
校正:染川隆俊
2013年8月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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