烈婦

高田保




「世界情勢吟」と題して川柳一句をお取次ぎする。
国境を知らぬ草の実こぼれ合い
 
 
 
 
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どのように坐りかえてもわが姿
 老女史はこれを「最近の心境」として示されているのだが、女史の姿の変らぬのは立派である。しかし私はぜひとも坐り直し別な姿にならねばならぬ。同感の士なきやいかに。
 私は久しぶりに「烈婦」という文字を、この老女史でおもい出した。

(二・二〇)






底本:「日本の名随筆 別巻53 川柳」作品社
   1995(平成7)年7月25日第1刷発行
底本の親本:「ブラリひょうたん 下巻」毎日新聞社
   1978(昭和53)年5月
入力:浦山 敦子
校正:noriko saito
2009年5月3日作成
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