奥羽地方のシシ踊りと鹿供養

喜田貞吉





 


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 奥羽地方に行わるる所謂シシ踊りなるものは、地方によって多少その趣きを異にし、踊りの手振りにも、またその歌詞にも、地方的差違を示している。旧仙台領においては前記の如く、獅子頭に鹿角を附したものをかぶる例になっているが、旧南部領の獅子は短き双角を附した獅子頭をかぶり、別に長さ数尺に及ぶ細き割竹に、櫛歯形に切り目を入れた紙を巻き、その数条を放線状に束ねて背に負っている。そしてその負物を、土地ではササラと呼んでいるのである。ササラとは本来櫛歯形に木片を連ねた田楽法師の用具の名で舞踊に際してそれを操り、戛々かつかつたる音響を発せしめるものであるが、南部地方の獅子の負物にこの名称のあるのは、或いはその竹条に巻いた紙の切り形から来たものかとも思われないでもないが、おそらく田楽時代の要具の名の名残りを伝えたと解すべきものであろう。
 なお各地のシシ踊りの団体には、往々その由来を記した一種の伝書を相伝している。その謂うところ例によって荒唐無稽の談に充たされてはいるが、しかもなおその因縁を念仏踊りに附会したものの如く、彼らがもと俗法師の一種なる田楽法師の亜流として、その舞踊がやはり供養の法楽に起因したものたることを暗示しているのである。なおこの事については、他日機会を得てその伝書を紹介し、さらに研究を重ねてみたいと思う。(昭六、九、十一)





 
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20101026

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