小がらで元気がみちみち 眼と口と顔の据えられた位置が やや水平の彼方の空に向い 希望の、言葉ではなし、文章ではなし、絵でもなし ただ五尺たらずのからだに みちみてる熱意ある要求の表情。 私はそこで 彼女の出ている工場で、 一日 一杯、 牛馬のような搾取労働が、 ヘコたれさせた姿を見ていない 彼女が江東労働者の娘で、 工場労働の中にすべてのよろこびやかなしみの生活にひたり すべての要求を 自ら労働者の 眼と口と腕と足と結合集団の力にたよってのみ、みたし行く、 クジけることなき労働者金属女工の身軽な休日の散歩を見る。 彼女はいまだその頭上に日本髪を結ばず余計な封建の遺風をカラリと忘れ いつもきりりと髪を結び いつも労働者全体の慾求だけが 胸の中にふくらみ、 その時だけ激しい怒りをもつ。 彼女は未知の友、 だが、婦人労働者、おれたちの友、 今日おれたちの戦列に立つ女子共産青年同盟員。 ︵﹃婦人戦旗﹄一九三一年八月号に発表﹃今野大力・今村恒夫詩集﹄改訂版を底本︶