碇泊船

今野大力




船腹の色のはげ落ちたみじめさは
遠く波濤とたたかって来た
今は疲労になやんで
ぐったりと体を伸べたような
いたわりの心を感ずる
廃船のようではないか
英蘭イングランドの旗を船尾に立てて
見れば船員が二三人
甲板に出て立っている
あの船員の眼は碧く
頭髪かみは褐色に染み
彼ら異邦を航海する人々
雪降り暮るる港にあり






   19957630

   19283531


2015220

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