文章を作る人々の根本用意

小川未明





 


 
 
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 文章を作るまでの用意については、大体を尽したと思う。そこで、今諸君に望むところは、大胆に試みよということだ。
 一日の生活のある一片を捉えるのもいゝし、ある感情の波動をべるのもいゝし、ある思想に形を与えるのもいゝし、人と人との会話のある部分を写すのもいゝと思う。
 一つよりも十の習練である。十の習練よりも二十の習練である。初めから文章のうまみとか華やかさとを希ってはならない。明瞭に考え、正しく見てわれ/\は進んでゆくべきである。更にどこまでも誠実な態度をとること、ものゝあるがまゝの姿に即すことを怠ってはならない。
 附け加えていえば、文章の上に多くいわれる推敲ということは、単に表面的な文学上の修飾であってはならない。それはどこまでも内容を本位とするものでなければならない。





底本:「芸術は生動す」国文社
   1982(昭和57)年3月30日初版第1刷発行
底本の親本:「描写の心得」春陽堂
   1918(大正7)年4月15日初版
   1923(大正12)年3月10日3版
入力:Nana ohbe
校正:仙酔ゑびす
2011年12月22日作成
青空文庫作成ファイル:
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