闇の幕危く垂れて 二十八宿星せい座ざ揺ゆるぎ 滅ほろ亡びの香にほひ凄すごう乱るゝ 古ふる寺でらの屋や根ねに嬉うれしや 白びや鵠くかうの夢は醒さめたり、 あな嬉し霊れいの御おん告つげ、 白びや鵠くかうは夢より醒めぬ 頼たのもしく威いある瞳に 喙くちばしの結むすびたゞしく みがまへて睨にらむか闇を、 平へい和わの気けぬ温るく密みつなる 巣すの真ます隅み、を吐はいて 金こん鱗りんの閃ひらめき寒さむう 蜿うねりたる地よ獄みの私みそ生か児ご うとましの怪けも物の、鎌かま首くび 巣の雛ひなの機きを窺うかがひて 倚より打うたむ危あやうの刹せつ那な、 星ほし明あかり白く乱れて 一叫さけび闇を裂きしか 虚そ空ら高く霊れいの羽ばたき 劫運の恐おそ怖れの帳とばり 曙の神かん矢やに落おちちて 生いの命ちの気漲みなぎる朝あした 白びや銀くぎんの翅つばさゆるかに 天がける霊れい鳥てう見ずや、 鎌かま首くびはかぼそくしびれ 大たい権ごん威い、朝あさの光ひか明りに 褪あせはてし鱗うろこを晒さらし 雛鳥に眼めを啄つゝかれて 儚はかなげの息いき絶えざまや、 あら仰げ勝利の霊たまは 白しろ金がねの翅つばさ気けた高かう 子こ等ら連つれて朝あさ明あけくゆる 大おほ空ぞらの﹁栄は光え﹂が招せう〴〵に 悠ゆるやかに群むれとび去りぬ。