郷愁
仲村渠
友よ 肩をならべて街へゆかう
質屋をだして外套は僕らの肩によいおもさ
友よ 腕をくめ
街は霧だ
燈火の美しくなる十二月
何だらう 僕らを呼んでゐるものは?
友よ 新しい気流が渡つてるにすぎぬのだよ 街のうへを
何だらう 僕らの顔に匂つてくるものは?
気弱い友よ
ナフタリンの玉がころがつてるにすぎぬのだよ かくしの底に
霧は僕らの肩におりるやうす
友よ 友よ 話してゆかう
声だかに燈火のあひだ霧のしたを。
底本‥﹁沖縄文学全集 第1巻 詩﹂国書刊行会
1991︵平成3︶年6月6日第1刷
入力‥坂本真一
校正‥良本典代
2017年8月25日作成
青空文庫作成ファイル‥
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