青い おほきい船にのつてゆかう。 ほんとうに痩せてしまつたぼくの肩 あたらしい紺飛白ばかり匂ひがたかいよ。 月あかりは胸から背なへぬけてしまつた ほそながい影ひとつ ぼくのうしろへ映つてゐやしない。 たゞ青くつて しづかな航海はほんとうにこころぼそい 楽隊ずきのペンギン鳥が氷の島に 月のしたに並んでゐたつて 陽気な唄も 銀笛ひとつ持ちあはしてはゐないのさ。 月あかりの向ふにみんなみんな消えていつた 弟のやつも 母も 友だちも消えていつた 船尾にうごくさびしい旗と。 旗のしたに立つた僕と。 たゞ青くつて しづかな航海はほんとうにこころぼそい。