地震なまず

武者金吉




「伊豆地震調査当時の著者」のキャプション付きの図

昭和五年(1930年)
伊豆地震調査当時の著者。後ろの倒潰した建物は箱根塔ヶ島離宮、屋根を貫いて柱が突き出している。


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「横浜花園橋附近の亀裂」のキャプション付きの図
大正十二年(一九二三年)
関東大震災
横浜花園橋附近の亀裂

「浅草十二階」のキャプション付きの図
大正十二年(一九二三年)
関東大震災
浅草十二階

「被服廠の惨状」のキャプション付きの図
大正十二年(一九二三年)
関東大震災
被服廠の惨状

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「東京大地震湯屋破損の図」のキャプション付きの図
明治二十七年六月二十日東京地震の状況
東京大地震湯屋破損の図

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「吉原堤から飛び出した火の玉」のキャプション付きの図
安政二年(一八五五年)
江戸地震
吉原堤から飛び出した火の玉

「ドイツのエビンゲンで観察された火の玉」のキャプション付きの図
一九一一年十一月十六日
中欧の地震
ドイツのエビンゲンで
観察された火の玉

「静岡県賀茂郡稲生沢村から見た地震の発光」のキャプション付きの図
昭和五年(一九三〇年)
伊豆地震
静岡県賀茂郡稲生沢村から見た地震の発光







 調
 
 
 調
 

 

昭和三十一年八月
暑さと病気になやみながら
著者








 





 
 ()()使西
 鹿()()()()鹿鹿
 
「鹿島の要石」のキャプション付きの図
鹿

 西
 

寂滅の貝ふき立る初嵐      似春
 石こづめなる山本の雲     桃青
大地震つづいて竜やのぼるらん  似春
 長十丈の鯰なりけり      桃青
 似春によって地震が余りに美化され過ぎたのを、芭蕉は龍を鯰に見立てて諧謔化したわけである。(中略)
 なお地震と言う文字は直接句の中には見出せないが、延宝四年の百韻(種彦校合江戸両吟集)の中に、
瀬戸の土菎輪際こんりんざいをほりぬきて   信章
 弁才天に鯰ささぐる      桃青
とあるは、当時地下深い所には鯰が住んでいると考えていた証拠ともなるであろう。」
「鎌倉時代の暦にある地震虫」のキャプション付きの図


 西



鹿
 ()()()
 
 ()()()()
 
 
 



 

調調



「鯰の実験装置(畑井博士原図)」のキャプション付きの図



調

調


調

 稿


 





 
 ()()()()
 鹿



 地震の起こる前に観察された魚類の異常行動の例を集めて調べて見ると、前記の安政・大正両地震の鯰をも含めて、大体次の四つの場合に分類することが出来るようである。
1 姿
2 
3 
4 姿
 材料の増加にともなって多少の変更を余儀なくされるかも知れないが、現在まで集まった材料に基づいて分類すると、大体右の如くなる。以下順を追うて記すことにする。

(1) タコ坊主上陸(平素姿を見せぬ魚が現れる)
 ()()()()
 
 調沿調
 使調
 
 ()()
 
 
 ()()()沿
 
 ()()()
 
 調
 調
 
 ()()
 ()()()
 
 鹿鹿
 鹿
 姿

(2) 魚が水面に群がり、さかんに跳ねる
 
 
 姿
 
 
 
 ()()
 ()()
 ()()
 
 
 西
 

(3) 多くの魚が岸の近くに集まる
 
 沿
 
 
 
 
 沿
 ()()()()
 
 鹿鹿鹿
 鹿
 
 西
 沿調
 ()()
 沿沿
 
 
 西
 西

(4) 魚族逃亡(地震の前に魚類が全く姿をかくす)
 姿
 ()()
 
 ()()()()()
 
 
 
 
 ()()
 使
 ()()()()()
 姿
 ()()()
 ()()
 



 調
 
 
沿()()

 鹿
 鹿
 
 
 
 
 駿駿調(一)(二)(三)沿
 使
 ()()()
 



 姿

(1) 鼠と猫
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ()()()
 ()()
 
 
 
 
 
 
 
 

(2) 犬と猿
 
 
 
 
 
 
 調
 
 調
 

(3) 馬とロバ
 
 
 
 
 
「一八八七年二月二十三日のリヴィエラ大地震の前夜、多くの都市村落の神経質の人々は何となく胸さわぎがし、鳥や獣は明らかに何ものかを感じているように見え、特に地震の数分前にはそれが一層いちじるしかった。馬は飼料に目もくれず、落ちつきがなく廐舎から逃げ出そうとし、犬はけたたましく吠え、鳥類は飛び廻って驚怖の叫びを発した。このような微候は[#「微候は」はママ]イタリーの百三十カ所で注意された。」
 
 
 ()()

(4) さまざまの鳥
 
 ()
 ()()()()()
 
 
 
 西
 
 


 ()()
 
 
 
 ()()()

(5) 蛇と蛙
 
 
 調
 
 西



 
 
 


 





 
 
 
 西
 西
 西
 西谿
()()()()宿()()()()()()()()
 
 西鹿西鹿()()
 西
 西
 
 
()
 

 

西宿殿
 


 西()()
 ()()
 西
 
 
 
 



 
()()
 

 
 
宿西
 



 
 西
 西
 駿
 西調
 
 調
 
 西
 
 ()()
 
「時あたかも私は神戸より電車にて大阪へ参る途中、何心なく電車の窓より六甲武庫連山の天空を眺めしに、この山脈の北方中空に、遠火事の焔とも言うべきか、かっと一面に照り渡り、平生においては見馴れざる色彩を帯び居り申し候。珍しき現象かなと、ややしばらく眼を放たず見入り候中に、電車は大阪に着し下車致し候。その後二十分か三十分くらいを経て、かの震災を耳に致し、想いをかの現象に馳せて、奇異の念に堪えざりしものに候。」
 


調

 
 調調調調()()調調調調
「理学博士 寺田寅彦(津田青楓写生)」のキャプション付きの図

 



 調
 調調()()
 
 調



(1) タシツスからガリーまで
 西
 西
 
 
 
 
 
 
 
 調調

光の種類とその出現した時間についての表

 

 
 
 調
 調調綿
 
※(ローマ数字1、1-13-21) 漠然たる瞬間的の光
(a) 閃光
(b) 雨の降り注ぐ如き光
(c) 細い光の帯
※(ローマ数字2、1-13-22) 一定の形を有し且つ動く光体
(d) 火球
(e) 火柱
(f) 火の棒
(g) ラッパ状の光
※(ローマ数字3、1-13-23) 輝ける焔及び輻射
(h) 火焔
(i) 小火焔
(j) スパーク
(k) 光る気
※(ローマ数字4、1-13-24) 空中及び雲の燐光

(l) 拡がった空の光
(m) 光る雲


 ついでガリーは十三種の光と地震との時間的関係を調べて、詳細な表を作った。その表によると、すべての種類の光を通じて、地震の最中に光を見たという報告が最も多い。しかるに第一の中の「閃光」及び第四の中の「光る雲」この二種類だけは地震の前に観察された場合の方が多いのである。これは注意すべき事実であって、宝暦元年名立崩れの直前に出現したと伝えられる光象も、ガリーの分類では「光る雲」の中に入るのかも知れないのである。
 要するにガリーは地震にともなう発光現象の研究上、空前の業績を残したと言ってよい。また彼の論文はこの現象に関する宝典と言うべきである。

(2) ガリー以後
 
 調調(一)(二)(三)(四)(五)(六)
 
 調
 (一)(二)(三)(四)(五)(六)
 
 調調
 



(1) 日本の学者はほとんど無関心
 谿
 
 
 
 使鹿
 使
 
 調調(一)退(二)(三)(四)(五)(一)(三)(四)(五)
 調
 調
 調
駿()()()()()()調()()()調
 
 
 鹿
 
 
地震にともなう発光現象の表

(2) 昭和五年十一月二十六日伊豆地震の発光
 調調
 
 調
 ()()
 
西
 
 (一)(二)(三)(四)(五)(六)(七)(八)(九)(一)(六)
 便
 西()()
「神奈川県吉浜村から見た地震の発光」のキャプション付きの図


5


 西西西()()
「箱根町から西方に見えた地震の発光」のキャプション付きの図

西
5


「神山駒ヶ岳中腹に見えた地震の発光」のキャプション付きの図


5


「箱根姥子から見た地震の発光」のキャプション付きの図


5


 
 
 
 
「箱根町で観察された地震の発光」のキャプション付きの図


5


 
 西
 調

(3) 昭和六年十一月二日日向灘地震の発光
 調
 
「別府湾に現れた地震の発光」のキャプション付きの図


6


 
 ()()()
 ()()
 
 
 

(4) 昭和六年十一月四日小国地震の発光
 調
 調
 
 調

(5) 昭和十三年五月二十九日屈斜路地震の発光
 ()()()調調調調
 
 
 
 
 
 

(6) 昭和十六年七月十五日長野地震の発光
 この地震の時も発光が各地で観察されたが、岸上冬彦博士及び矢橋徳太郎理学士の調査の結果、送電線の切断による火花と結論された。

(7) 昭和十六年十二月十七日嘉義地震の発光
 
 
 ()
 
 

(8) 昭和十八年三月四日及び五日鳥取地震の発光
 綿調調

(9) 昭和二十一年十二月二十一日南海道地震の発光
 調調
 
 西沿
 ()()()()()西
 
 調
 西()()()()調
 
 ()()
 西沿
 
 
 
 便
 椿()()()
 調
 ()()
 
 ()()
 
 



 
 
(一)(二)(三)(四)西
 
沿



 
 調
 

 (一)(二)(三)(四)(五)
 (一)綿
 
 
 
 
 西
 
 
 ()()()()
 
 
 
 



 終わりに、この現象の調査研究について多大の援助を与えられた寺田寅彦博士の言葉を掲げて本文の結びとする。
西


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 調調
 調



 ()()西
 西西
 西
 西西
 西
 鹿()
 西
 



 
 ()()()()()()調沿調
 
 
 



 ()()()調調
 ()()()()
 ()()()()宿
 便
 



 ()
 (一)(二)(三)(四)退(五)(六)(七)(八)
 ()()()
 ()
 
 退退
 
 
 退退
 退
 
 
 
 
 
 ()()
 
 ()()
 
 
 ()()()
 ()()退
 
()()退
 
 便退
 ()()
 
 ()()退
 ()()()
 



 
 沿便



 
 (一)(二)(三)(四)退
 (五)
 (六)
 
 
 調調調
 
 
西西
 
 
 (七)
 
 
 
 
 
 
 
 
 姿姿
 
 (八)
 
 ()()
「メトリヂア・ロンガ」のキャプション付きの図


 
()()沿
 沿
 








 





 
 ()()  
 
 



 
西
 西
 西()()



 ()()
 



 西西
 西
 



 
 


 





 鹿使使
 



 西
 
 ()()
 
 調 Earthquake Erdbeben Tremblement de terre Terremoto
 
 ()()()()
 便



()()()()()使
 使()
 
 



 
 ()()()()()()
 
 
 
 
 宿
 使
 


 





 
 
 姿
 



 鹿
「東京東部を通る地震帯」のキャプション付きの図


 ()()



 
 
 鹿



 
 
 
 
 



 
 



 
 
 
 
 



 
 
 ()()()()
 



 
 
 
 
 


 





 鹿
 調西



 
 
 調
 調
 西西西西西西西西西西
 



 
 宿



 (一)(二)(三)(四)(五)
 西
 西
 西
 西
 調



 西



 ()()()()()()()()
 西西西
 ()()()()調
 



 
「(4)と(5)は同日同刻に発した。(7)は(6)の32時間後に発した。」のキャプション付きの図

457632


 
 調



 ()()


 



 

 ()()()()()調
 調
 使
 
「理学博士 今村明恒(1870〜1948)」のキャプション付きの図

 
18701948


 ()()()鹿西
 
 
 
 
 西鹿宿
 退鹿退宿
 西
 鹿
 使
 
 鹿
 
 
 鹿
 
 
 調
 
 鹿
 調調
 
 宿駿
 
 宿鹿
 
 
 調
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 宿
 
 鹿鹿
 
 
 
 
 ()()()
 
 
 
 
 
 
 姿
 宿()()()
 退
 退退
 
 
 
 
 
殿調
調××
 
 
「十一日夕方の地震で今村博士にお尋ねすると、博士は、こんな小さな地震が何です。こんなのにびくびくされる人々の無理解を私はむしろ憐れむべきだと思います。」
 
 
 稿
 調()稿××
 調
 
 









 使
 
 調Partially bald禿禿禿
 
 
 
 竿使
 
 
 
 退宿
 
 
 
 
 
 
 寿
 宿
 
 
 稿






   1995712201

   195732
5-86


 


20191028

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