城中の霜

山本周五郎






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 退()
苦寃難洗恨難禁、  俯則悲傷仰則吟
昨夜城中霜始隕、  誰知松柏後凋心
 彼女はやや暫くその文字をみつめたまま、その円い肩を波うたせていた。
 香苗は間もなく因幡邸を辞した。……冬の短い日はもうれて、街にはすっかり灯がいていた。今夜もまたてるのであろう、風もないのに空気は冷えきって、足元から這上はいあがる寒気は骨までしみ徹るかと思われる。香苗は両袖で確りと胸を押えながら歩いた。ふところへ入れて来た辞世の詩に籠っている左内の心を、その寒さから護ろうとでもするように、……つじへ出ると灯の明るい商家の街になった。往来の人々が寒さに身を縮めながら、追われるように前後へすれちがった。――どうしたのかしら、この感じは。どうしてもぴったりとしない気持が、いつまでも香苗の心にとげを残していた。――あんなにくわしく聞いたのに、少しも左内さまの御最期という感じがしない、左内さまがどんな人であるかということは、香苗がいちばんよく知っていた筈なのに。彼女はにおちない気持で幾たびもそう呟いた。



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 ()調




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 ※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)
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忿()()
()()※(「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56)()()()
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 ()姿
 
 
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底本:「山本周五郎全集第十八巻 須磨寺附近・城中の霜」新潮社
   1983(昭和58)年6月25日発行
初出:「現代」
   1940(昭和15)年4月号
入力:特定非営利活動法人はるかぜ
校正:noriko saito
2022年8月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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