くじらようかん

澤西祐典




尾道銘菓 鯨羊羹くじらようかん

 古来より海洋資源に恵まれていた日本は、地球上最大の動物の「鯨」も例外なく、肉・脂・表皮をはじめ、「鯨尺」の名があるようにその材料として「ひげ」まで無駄なく大切に利用してきました。古くからの港町・尾道では、対岸の向島むかいしま岩小島いわしじまで正月に決まって出産のため鯨の姿が現れたと、室町時代の初め武将・歌人の今川貞世が「道ゆきぶり」に記しています。現在では高価となった鯨ですが、当地では肉とともに食材とされ、「おばけ」または「おばいけ」といって、表皮の黒い部分とその下の「白皮」とよばれる脂肪層を薄く切って熱湯をかけ、流水でよくさらし酢味噌で食べる「さらし鯨」は極めて一般的な食べ物でした。
「鯨羊羹」は、元は「鯨餅」といって、黒と白の二層の蒸し羊羹として江戸時代の記録に残っております。寒天の発見後、十八世紀後半頃より現在の羊羹に似た物が造られ、「鯨羊羹」もあわせて現在の様になったものと思われます。


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 お願い
鯨羊羹は黒い部分(錦玉羹きんぎょくかん)と白い部分(道明寺羹どうみょうじかん)とは材質が異なるため、この面が多少がれやすくなっております。
小口こぐちにされるときは、お手数でも流し枠を全て剥がし、黒い錦玉羹部分を上にしてお切り下さる様、お願い申し上げます。


昔から、「鯨羊羹」は鯨の皮を意匠に採り入れたものですが、鯨の肉・脂・皮などは、一切使用しておりません。




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底本:「すばる 第41巻第6号」集英社
   2019(令和元)年5月6日
初出:「すばる 第41巻第6号」集英社
   2019(令和元)年5月6日
入力:澤西祐典
校正:大久保ゆう
2021年12月27日作成
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